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【乗りものニュース】実は日本の生命線?「塩を運ぶ船」の実際 ほとんど輸入されている塩/2023.01.11

【乗りものニュース】

人体だけではなく産業にも塩はなくてはならない!

1月11日は、戦国時代に周辺大名から塩の輸出を止められ困っていた武田信玄に対し、上杉謙信が塩を送った日とされており、「敵に塩を送る」の言葉の由来になったことから「塩の日」ともされています。

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塩を運ぶのに適す貨物船とされるハンディマックス(画像:日本郵船)

塩といえば食用のイメージが強いですが、実は現在、塩のほとんどは塩素ガス、塩化水素、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムなどを製造する「工業用」の割合が圧倒的です。財務省の「令和3年度塩使用実績」によると、76%が工業用となっています。

そして、日本は海に囲まれている島国ですが、海水から塩を濃縮するのは大変で、この工業用の塩に関してはほとんど輸入に頼っており、海外から船によって届けられています。

主な輸入先はメキシコとオーストラリアで、この2か国から8割を超える量を輸入しています。特にメキシコとは関係が深く、同国にある、東京23区と同等面積を誇る世界最大の天日塩田「ゲレロネグロ塩田」に関しては、三菱商事とメキシコ政府が共同出資して運営しています。なお、メキシコからの塩輸送を担当している日本郵船は、年間約350万トンの塩を同国から輸送しているそうです。

塩は、鉄鉱石、石炭、穀物などとともにドライバルク貨物として分類されており、梱包せずに大量にそのまま船倉に入れて輸送する「ばら積み船」または「バルク船」と呼ばれる貨物船に積み込まれます。主に塩を運ぶばら積み船は「ハンディマックス」と呼ばれる、載貨重量トンが3万5000トンから6万トンの範囲にある貨物船が担当しているようです。

そして、塩といえば避けて通れないのが、腐食の問題です。日本郵船では、塩の影響により、貨物倉がさびてしまうのを防ぐため、耐久性に優れた特殊なコーティングを貨物倉に施しているそうです。荷役の前後に貨物倉内のクリーニングを行うことも重要で、貨物倉が大きい大型船はクリーニングに要する時間も長くなるため、塩の揚げ荷役が完了した時点ですぐに始め、再び積地へ向かう航海中も行うそうです。

2020年に財務省が発表した「塩需給実績」では、飲食用の塩は自給できていますが、工業用を含めると、自給率は11%となっており、こうした塩運搬用の大型船が日本を影で支えています。

【了】


 

 

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