【朝日新聞】
2023年2月12日
自治会・町内会の活動が、岐路に立たされている。東京都の自治会など「地縁団体」の数の調査によると、都内23区と26市で、昨年は6年前と比べて144減っていた。高齢化などによる担い手不足が主な理由だという。
国の調査によると、加入率も年々、減っている。自治会は地域のコミュニティーづくりや防災・災害時の助け合い、行政機関への要望など多くの役割を担ってきた。住民の生活スタイルが多様化する中で、どのように持続可能なものにしていくかが課題だ。
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東京都は、地縁に基づいて形成された自治会や町会、区会などを「地縁団体」と定義し、毎年集計している。自治会は、マンションなどができて新設されることもあれば、解散してなくなったり、複数の会が合併したりすることもある。都はそれを差し引きした数を集めている。
49区市の地縁団体の数は、現在の定義で集計を始めた2016年は8931だったが、22年には8787と144減少した。49区市のうち、全体の数が減った自治体は27。一方、10自治体では増えていた。
最も多く減っていたのが調布市で、マイナス41。市によると、解散の主な理由として「高齢化による後継者不足」「会員数が少なく、自治会の意味がない」などがあがった。加入率も、12年度の46・9%から、21年度は36・8%と減っているという。
調布市に次いで減少数が多かった清瀬市では、22年までの10年間に30の地縁団体が解散。新たに三つできた。
23区では港区が最も減っており、22年までの10年間で解散は15(新設は7)だった。解散理由は、「住宅地の再開発、人口流出」のほか「会費の徴収が困難になった」「役員の高齢化、役員数の恒常的な不足」などだった。
こうした傾向は全国的にも同じだ。
内閣府の調査(回答市区町村:1157、16~17年)では、自治会の課題として、「役員・運営の担い手不足」が86・1%と最も高く、次いで「役員の高齢化」が82・8%だった。その後「近所付き合いの希薄化」「加入率の低下」が続いた。
加入率も減少傾向だ。
総務省の、毎年度の自治会の加入率を把握している624市区町村を対象にした調査によると、政令指定都市では、10年度に77・2%だったのが、20年度には70・3%に。ほかの市区町村でも減少傾向だった。
懸念されるのが、地域社会を支える組織がなくなることだ。総務省も21年、大学教授や街づくりコンサルタントらによる「地域コミュニティに関する研究会」を設置した。22年4月に出された報告書では、自治会活動の持続可能性を高めるため、負担を減らす必要があると言及。回覧板などを使った情報伝達や、防犯灯・ごみステーションの設置管理、民生委員の推薦など、自治体が協力を依頼している業務について、見直す必要があると提言した。
また、情報共有を効率化するため、電子回覧板やオンライン会議など、市区町村が自治会のデジタル化に取り組むことの必要性にも触れた。
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