【講談社】
ChatGPTをはじめとする対話型AIが話題となっている。従来型AIと比較して格段に能力が向上したわけではないが、圧倒的な対話力の影響は大きく、ビジネスへの応用が一気に進むだろう。以前から指摘されている通り、AIの普及によってホワイトカラーの仕事は大幅に削減される。一方、人にしかできない仕事の価値は相対的に高まる一方であり、ホワイトカラーとブルーカラーの賃金が逆転する可能性も出てきたといってよいだろう。
ホワイトカラーの余剰が本格化する
このところ相次いで開発されている対話型AIにおける最大の特徴は、人とのコミュニケーション能力である。人間と会話できるAIは、ホームスピーカーなどを通じて家庭でも販売されていたが、従来型のAIは難しい質問には答えられないケースがほとんどだった。
だが、対話型AIはコミュニケーション能力に重点が置かれており、難しい質問をしても何らかの形で自然な回答を返してくれる。AIというのはどのデータを参照し、どういったアルゴリズムでアウトプットを生成するのかでその能力が決まってしまうので、対話が上手くなったからといって頭が良くなったわけではない。
しかしながら、自然言語で指示すれば、製品の販売動向のレポートをまとめてくれたり、必要なデータの所在を分かりやすい形で示してくれるというのは、実際に使う側の人間に立ってみると大きなパラダイム転換と言って良いだろう。一部からは急激な普及を危惧する声も出ており、その指摘はもっともだが、圧倒的にフレンドリーなコミュニケーション能力という点を考えると ビジネスへの実装が進んでいくのはほぼ間違いない。