【businessinsider】
May. 24, 2023
米マイクロソフトの年次開発者会議「Microsoft Build」(マイクロソフトビルド)が開幕した。会期は5月23日(現地時間)から25日の3日間。
Microsoft Buildは、米シアトルとオンラインのハイブリッド開催となった。
出典:マイクロソフト
初日の基調講演に合わせ、マイクロソフトはさまざまな新しい施策を発表している。その多くが、現在の同社の戦略を反映した「AI関連」である。
中でも多くの人に関連するのは、Windows 11に関する変化だろう。
今回マイクロソフトは、Windows 11にAI機能である「Copilot(副操縦士)」をWindowsに完全に組み込むことを発表した。
これがどのような機能なのかを解説する。
Windows 11にチャットAIをビルドインした「Windows Copilot」
ウェブブラウザーやOSにAIを組み込むのは、マイクロソフトが年初より加速してきた戦略に基づくものだ。
ウェブブラウザーである「Edge」には、すでに「Microsoft 365 Copilot」が組み込まれており、チャットでの質問や文書の要約などができる。この機能は、今回さらに改善が進んでいる。
2月にはタスクバーにBingのチャット検索が組み込まれたが、今回はさらに本格的に、「Windows Copilot」として組み込まれる。
Windows Copilotは画面右に表示されるのだが、ここではBing ChatやEdgeのCopilot機能と同じようなことが実行できる。
さらにOSとの統合が進んでいるので、Windows CopilotはOSの設定変更やスクリーンショット作成、文書の要約や説明を依頼して作業していくことが可能だ。
要は、ウェブブラウザーの上のChatGPTやBingチャットに文書をコピペして作業するのでなく、WindowsのUIの上で直接質問や作業を依頼できるようになるのだ。
この機能は6月に、Windows Insider向けに公開が始まる予定だ。
OpenAIのプラグインをマイクロソフトも採用
マイクロソフトのAI活用として、大きな変化としては「プラグイン対応」が挙げられる。
先日から、OpenAIの「ChatGPT Plus」では、他社のウェブサービスとGPT-4を連携させる「プラグイン」という機能が使えるようになっている。
プラグインを使うことで、他のウェブサービスで使える情報を、ChatGPTによるチャットから利用し、答えを得られる。チャットというUIで、ウェブサービスを横断して答えを得られるようになる……と思っていいだろう。
マイクロソフトも同社のAIサービスである「Microsoft 365 Copilot」で、OpenAIと互換性を持つプラグインが使えるようになる。
Microsoft 365 Copilotでは、Teamsチャットや同社のローコード技術「Power Platform」ベースのプラグインも利用可能。3種類のプラグインから好きな手法を選んで開発できるため「非常に幅広いエコシステムを構築できる」としている。
このプラグインは、Windows Copilotからも使える。他社の例だが、グーグルも自社のチャットAIに対してプラグインによる拡張の導入を予定している。
チャットAIに対してプラグインによって機能拡張していくのは、大きなトレンドとなっていきそうだ。
ストアでのコメントを「AIまとめ」に
なお、Windows向けのAI機能としては、Windowsで使われるアプリストアである「Microsoft Store」でのAI活用も含まれる。
AIを使ったアプリなどをまとめた「AIハブ」が用意され、ストア内で検索に使われるキーワードやタグについても、AIが自動生成するようになる。
また、アプリに関するユーザーコメントをAIが要約し、多数のユーザーの声がどのようになっているのかを簡単に把握できるようになるという。
これらの施策は、アプリがあっても見つかりにくいという、オンラインアプリストアの課題をAIで解決するための施策と言える。
AIとは関係ないが、多くの人に関わるものとして、「アプリのバックアップとリストア」の改善がある。
これは、Microsoft Storeから入手したアプリについての管理を簡便化し、PCを入れ替えた後もワンタッチで、使っていたアプリを再インストールする機能。
スマートフォンではすでに実現されているものだが、PCにも導入されることで、PCの買い替え・再セットアップを促進する狙いがあるものと見られる。