2023年6月1日更新
没後.30年 井伏文学のふるさと 在所のことが気にかかる
井伏鱒二は、この上なくふるさとを愛した作家で、生地福山地方を舞台とする多くの作品を書いています。井伏文学の出発は、「谷間」「朽助のゐる谷間」「丹下氏邸」など、郷土を題材にしたものが多く、また、戦後の再出発も故郷を舞台とした「追剝の話」「白毛」などによってでした。
井伏鱒二の初期ふるさとものの代表作「丹下氏邸」の原稿をふくやま文学館では所蔵していますが、この原稿の標題は「老僕のゐる風景」となっています。1931年2月発行の雑誌『改造』に掲載された際に「丹下氏邸」と改題されたものと思われます。文芸評論家の小林秀雄がこの「丹下氏邸」について、この作品には「率直に人の純潔に訴へる声があります」と絶賛したことも、よく知られています。
2023年は、井伏鱒二が亡くなってから、30年になります。ふくやま文学館では、井伏の没後30年を記念して、特別展「没後30年 井伏文学のふるさと」を開催し、井伏の故郷と文学の関係について改めて考察していきます。
(この原稿は、「没後30年 井伏文学のふるさと」において、7月17日まで展示しています。)
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ふくやま文学館
Tel:084-932-7010
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