【えっと福山/インタビュー】
【えっと福山】UTSUMI FISHERMANS FEST
UTSUMI FISHERMANS FEST(ウツミ フィッシャーマンズ フェスト)実行委員会
兼田 数馬(かねだ かずま)さん(左から4番目)
瀬戸内海のほぼ真ん中 内海大橋でつながる漁師町
福山市内海町の若手漁師たちを中心に、内海町の人々、福山市立大学の教授や学生たちが2019年(平成31年)に設立した、イベント企画&運営などを行う団体「UTSUMI FISHERMANS FEST実行委員会」。その中心になって活動するのが、漁師の兼田数馬さんです。
兼田さんが暮らすのは、瀬戸内海のほぼ中央、くの字にカーブした内海大橋でつながる田島と横島からなる内海町。古くから漁業が盛んな地域で、「漁師の町」として知られています。
しかし、現在漁師を生業にしている人は、島の全人口の数%にすぎないそう。そんな中、兼田さんは、26歳の時に勤めていた配送会社を退職し、漁師の世界に飛び込みました。
魚離れ、漁獲量の減少… 問題の多い漁業を盛り上げたい
兼田さんが働く水産業界は、多くの問題を抱えています。魚をさばいたり調理をしたりするのが大変、魚よりも肉が好き、という消費者の傾向により魚介類の消費量は減っています。深刻化する魚離れについて、「切り身のまま泳いでいると思っている子どもも多いんですよ」と兼田さん。食文化が変わったことだけではなく、漁獲量の減少、水産物に対する価格が低迷していることなども、大きな問題となっています。
そんな水産業界を活気づけるための第一歩として、兼田さんをはじめとする内海町の若手漁師たちが集まり、開催したイベントが「UTSUMI FISHERMANS FEST」です。
魚を好きになる人が増えるようまずは漁師の魅力を伝えたい
イベントでは、漁師自らがとった魚を焼く「漁師の浜焼き」、腕っ節が強いといわれる漁師たちとの腕相撲大会、地元飲食店が魚料理を提供する飲食ブースの出店など、漁師ならではの発想が生きた企画がめじろ押しです。
ほかにも兼田さんが力を入れているのが、朝どれの新鮮な魚をさばいて箱詰めし、発送する「漁師のおまかせ便」。「とった本人が直筆の手紙を書いているのですが、漁をするよりも大変です。でも、購入してくれた人に少しでも喜んでもらいたくて…」と照れたように笑う兼田さん。この取り組みをきっかけに、漁師を身近に感じてくれる人も増えています。
「UTSUMI FISHERMANS FEST」は、毎年、漁獲量が増える春に内海町で開催予定。「おいしい魚がたくさん味わえるので、ぜひ来てくださいね」と笑顔の兼田さんは、これからも内海町の水産業界を活気づけていくと意気込んでいます。
2022年(令和4年)11月取材