【ntv】
2023年11月20日
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。今回は、宮脇靖知アナウンサーが、最近よく耳にする「2024年問題」についてプレゼンします。
「2024年問題」とは?
「2024年問題」は、最近テレビや新聞などの報道でも取り上げられていますが、配送業に関わる問題です。2024年4月から、自動車運転業務の時間外労働の規制が強化されます。具体的には、働き方改革の一環で、時間外労働の時間が、年間上限960時間へと制限されるという事です。
トラックドライバーの場合、労働時間が減少することで、賃金が減ります。その影響で、離職が生じて、人材が不足します。そうすると、物流網自体にも支障が出てくる可能性があります。時間が少なくなると、配送量も少なくなるので、運送会社の利益が減ります。それにより、料金への価格転嫁が、運送費にされるのでは、と言われています。我々の生活にも密接にかかわってくる問題です。
タクシードライバーにとっても重要な問題
そしてこの問題は、タクシーのドライバーにも関しても言えることです。タクシードライバーも、1か月の拘束時間の上限が、これまでの299時間から、288時間へと変更されます。長時間の運転で、どれだけ多く乗客を乗せるかというところがポイントとなり、タクシードライバーにとって大きな問題です。拘束時間は、実際に運転し、乗客を運んでいる状況だけではなく、車の清掃や事務手続きの時間も含まれます。タクシー業界としても、効率を改善し、良くしていく必要があるという事です。
そもそも、働き手が不足している
そもそも、タクシー業界自体、働き手が不足しています。一時期、コロナ禍で少し縮小した部分が影響している会社もあります。それだけではなく、慢性的な問題として、ドライバーの高齢化が、今問題となっています。全国ハイヤー・タクシー業界の2020年の調査によると、全国で65歳以上のドライバーは、46.2%です。広島県に至っては、52.5%と半分を上回っている状況です。その理由は、約75%の回答が「若年層(21歳から39歳)が入社しないから」でした。つまり、若い人がなかなかドライバーになってくれないというのが、1つ大きなポイントになります。
タクシー会社の対応は?
広島県内のタクシー会社は、こうした状況に対して、どういった対策を取っているのか、また、これから取ろうとしているのでしょうか。
<つばめ交通の場合>
広島市東区のつばめ交通です。2023年6月から固定給制度を取り入れています。新入社員に対し、最初の4か月間は、固定給として27万6千円を支給します。広島県内の大学生の初任給が、20万円を少し超えるくらいですので、厚遇してタクシードライバーを増やしていこうという事です。
タクシードライバーに関して、固定給制度にするポイントはどんなところでしょうか。ドライバーは、最初は不慣れで、道が分からないとなると、なかなか効率よく業務をこなすことが厳しくなります。その場合でも安心できるように、まずは固定給にすることで、ドライバーとしての魅力をしっかり伝えていくという取り組みになります。これによりつばめ交通は、10月までに20代から60代くらいの約40人の採用に繋がったということです。また、休憩フロアをリフォームするなど、働きやすい環境の実現を目指して、獲得に乗り出しているようです。
<広島第一交通の場合>
同じく、広島市西区の広島第一交通は、女性も働きやすい環境を目指しています。時間を工夫する事で、子育てをしている母親も、保育園や学校に送った後の出勤や、5時までに帰宅して、こどもを迎えに行くシフトを可能にしました。また、1か月の出勤日数を減らすなど、フレキシブルの対応を取っているという事です。
7つある全ての事業所で、女性が勤務していており、労働力としてしっかり活用していきたいという思いがあります。我々としてもインバウンド需要もあり、ますますタクシードライバーの不足は深刻化していきます。それぞれの会社の、人材獲得に向けた取り組みが行われているという現状をお伝えしました。
【テレビ派 2023年10月23日放送】