【gentosha】
2024.03.23
今や必須となった防災ですが、トイレに関しては後回しにしてしまうことも…災害が起きてしまったときでも安心して使用するための備えを見ていきましょう。加藤篤氏の著書『トイレからはじめる防災ハンドブック』(学芸出版社)より、詳しく解説します。
トイレ個室内の棚に重いものと硬いものは置かない
地震で自宅の便器が倒れることは、ほとんどありません。それは、便器が床に固定されているからです。
しかし、地震の揺れでトイレの棚などから重いものや硬いものが落ちると、その衝撃で便器が破損することがあります。断水時にも建物内の便器を有効活用する方法があります。そのためにも、便器の破損は避けなければなりません。
基本的な心構えとして、自宅のトイレの高いところに重いものや硬いものは置かないようにしてください。便器は排水管を通じて下水道や浄化槽とつながっているので、便器が壊れてしまうと、トイレ室内に臭気や虫等が発生してしまうことも考えられます。
もし便器を破損した場合は、下図のようにビニール袋の中に布を入れ、それを排水口に詰めることで臭気等の逆流を防ぐことができます。
非常用照明はランタンタイプが効果的
トイレを安心して使う上で欠かせないのが照明です。災害時は停電しますので、トイレも真っ暗になります。窓がなければ、昼間でも暗くて何も見えません。暗いトイレは不安です。また、排泄後に上手く拭けたかどうかがわからないだけでなく、手を汚してしまうかもしれません。
トイレで使用する照明を備えておくことは、精神的にも衛生的にもとても重要です。しかし、照明であればなんでもよいかというと、そうではありません。トイレ用の照明選びのポイントは大きく2つあります。
1つ目は、使う時に手をふさがないことです。片手に何かを持ったまま排泄するのは難しく、ズボンのボタンを外すだけでもひと苦労です。フックに引っ掛けたり棚などに置いたりできるものがよいでしょう。ヘッドライトでもよいです。
2つ目は、空間全体を照らせることです。これらを踏まえるとランタンタイプのような照明が効果的です。ただし、懐中電灯タイプでも、水の入ったペットボトルを乗せたり、ビニール袋を被せたりして光を乱反射させれば、空間全体を照らすことができます。