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【論座】この度の衆参補欠・再選挙の結果について、今後の政治を見通す上で、重要な内容が示されています。

この度の衆参補欠・再選挙の結果について、様々な観点での分析が行われていますが、福山大学の客員教授でかつて衆議院議員として新党さきがけを立ち上げ、政界再編の中心人物だった田中秀征氏の見解が、月刊誌に掲載されています。
とても、説得力のある論点です。
今後の政治を見通す上で、重要な内容が示されています。
必読です。


岡崎個人FBコメント欄より抜粋(2021.4.30)

池田 誠
与党の中にも有能で現政権や官僚の有り様に憂いを感じる国会議員も多いのではないかと思います。
与党内での自浄作用が起こらないのであれば袂を分けてでも国政選挙迄に新しい風を吹かせるべきだと私は思います。

岡崎 正淳
池田 誠 さん、そうですね。特に、衆議院は小選挙区なので、政策や政治姿勢に加えて、人間性も含めて本当は協力して取り組めるはずが、一人しか当選できないので、無理やり対立点を見出だしてたたかわざるを得ない現状は、率直にいって違和感を持ってます。
私達の様に、地方自治の現場では、国政の枠組みの中で起きている対立はあまりありません。 次の総選挙は、令和最初の総選挙です。 与野党を超えた新たな政治の出現を期待してます✨
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木梨 浩次
なんか、色々と週刊誌が書いてますね。
遅延信管が起爆しそう…。


【論座-サイト】

衆参補選・再選挙の結果が意味するものは今の野党への期待ではない
次期衆院選に向けて野党にとって逆風になる可能性も
田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

国民の注目を集めた参院長野選挙区、衆院北海道2区の両補欠選挙と、参院広島選挙区の再選挙が4月25日に投開票された。結果は、三つの選挙区ともに野党勢が勝利をおさめ、新聞各紙には「自民全敗」の大きな活字が踊った。
メディアが伝えるように、自民党に逆風が吹いたのは間違いないし、野党共闘が功を奏したというのもその通りだが、この流れが半年以内に実施される次期衆院選まで続く流れになるわけではない。それどころか、野党の対応次第では、今回の結果が衆院選に向けて裏目に出る可能性すらある。

菅政権に“お灸”をすえた有権者

私がみるところ、国政選挙の本選挙と補欠選挙や再選挙との間には、有権者の投票行動に基本的な違いがある。
具体的には、補選や再選挙の場合、「現政権に対する評価」が投票行動を大きく左右する傾向が強い。次の政権を選択する「政権選択」が有権者の投票行動を決める本選挙、なかでも衆院選とは、その点において大きく異なる。
とりわけ、今回の補欠選挙・再選挙のように、新型コロナウイルスの感染拡大や、東京五輪・パラリンピック問題など、国のあり方ともかかわる大きな方向性が問われると、地域に特有の判断材料の比重は後退する。しかも現在、菅政権の支持は定常的に低迷している。だから有権者にすれば、現政権に“お灸”をすえたという感が強い。

勝てたはずの参院広島で自民が負けたわけ

収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農林水産相=自民を離党=の議員辞職に伴う衆院北海道2区補選で自民党は候補擁立を見送ったが、これは不祥事に対する自民党の「反省」とは受け取られず、むしろ「逃げ」とか「弱気」と見られ、他の二つの選挙にも影響を与えたと思う。
もし自民党が勝つとすれば、参院広島選挙区の再選挙だろうと見ていたが、それも接戦の末、女性候補に一本化してのぞんだ野党勢に敗れてしまった。
私は長年、広島県の大学で教えてきたので、多くの県民の声が耳に入る。「自民王国」であり、「質の高い保守主義の牙城(がじょう)」と自負してきた広島県民は、公職選挙法違反(買収)で有罪となった河井案里氏=自民を離党=をめぐる事件の顚末(てんまつ)によって、自尊心を深く傷つけられた。
いわゆる「河井事件」は、広島県を地元とする岸田文雄・前政調会長が率いる「宏池会」(岸田派)つぶしの策動と見るのが一般的だから、岸田氏が先頭に立って動いた今回の再選挙では、自民党が勝つ可能性があると思っていた。実際、自民党内からも「勝って当然」という声が上がっていたようだが、「河井事件」が残した傷は想像以上に深刻だった。これはもちろん岸田氏の責任として片付けられることではない。
この敗北が意味するのは、ずばり「自民党は党本部から河井氏側に支払われた“1億5千万円”とも言われる資金の流れを明白にしろ」という、菅政権に対する厳しい催促に他ならない。それを明らかにしなければ、広島県民はもとより、多くの善良な自民党支持者は納得しないであろう。

「勝った」と誤解すれば衆院選で野党は惨敗

今回、三つの選挙に勝利した野党勢には、この勢いをこのまま次期衆院選につなげたいという考えがあるようだが、それには疑問を禁じ得ない。というのも、前述したように、補欠選挙や再選挙と異なり、衆院選では次の政権を選択する「政権選択」が、有権者の投票行動を支配するからだ。参院通常選挙も、結果次第では政権交代につながるので、衆院選ほどではなくとも、「政権交代」の是非が投票行動を左右すると言っていい。
たとえて言えば、補欠選挙では、まな板の上に現政権を置いて料理をするが、本選挙では、現政権とそれに代わろうという勢力の両方をまな板の上に置いて厳しく比較する。そのうえで、未知の新しい勢力のほうをより厳しく切り開くのである。
私が危惧するのは、野党が三つの選挙を「勝った」と誤解することだ。そうではなく、現政権の業績や能力に対して、有権者が不合格の評価をくだしたと見るべきだろう。投票率が最も高い参院長野選挙区補選でも44.40%、参院広島選挙区再選挙では33.61%、衆院北海道2区補選で30.46%と低調に終わったことにも注意を払うべきだ。野党に対して熱い期待があれば、こんな低投票率のはずがない。現政権に失望している自民党支持者が棄権したのだろう。
野党が自分たちは勝ったのだと誤解すれば、本選挙たる衆院選に向けて「現体制を補充、強化する」という方向で進んでしまう。指導者も体制も戦略も、これまで通りで何も変わらないだろう。もしそうであれば、衆院選で“負ける”どころか、“惨敗”の憂き目に遭うことは間違いないと私は思う。

外から風が吹かなければ何も動かない

少なからず私も関与した1993年の「細川政変」のことを思い出す。
当時、私は武村正義氏ら同志10人で自民党を離党し、新党さきがけを結成した。細川護熙氏が立ち上げた日本新党と協力し、自民党を1955年の結党以来、初めて政権から追い落とすことになった。(詳細は『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)を参照)
あの頃、自民党や社会党などによる既成政治が、まるで波が立たない湖のように見えたことが忘れられない。戦後長らく世界を形作ってきた冷戦体制が崩れ、それに対応してきた「55年体制」もまた崩壊の間際に来ているのに、およそそれに向き合おうとしない、不思議な静けさ。
そのとき感じたのは、静かな湖はそのままでは波は立たない。外から強い風が吹かなければ何も動かないということであった。

立憲が目指すのは「受け皿政党」?

日本の政治の動きを長く観察し、時には自分でも関与してきた経験から言うと、現在われわれ日本(そして世界)が直面している転機は、疑いなく歴史的なものだ。1976年に新自由クラブが、92年に日本新党が、93年に新党さきがけが、それぞれ旗揚げしたときは、「政治腐敗」への怒りが新党ブームを巻き起こしたが、今は政治腐敗というより「政治劣化」「行政劣化」が新しい本格的な政治の動きを促している。まさしく、一大転機にあると言っていい。
では、今の野党に新しい政治的な動きを望めるかといえば、残念ながらその気配は薄い。
私は現在の野党、特に立憲民主党が政権の「受け皿政党」を目指しているのではないかと疑っている。受け皿政党はかつて民主党が追い求め、2009年にいったん政権交代を実現したものの、3年半の政権によって安倍晋三首相がいう「悪夢のような」政治を招いてしまった。
結局のところ、自民党嫌い、共産党嫌い、公明党嫌いという「3党嫌い」の有権者の受け皿になること、別の言い方をすれば、アンチテーゼをもとに伸長した政党には、優れた指導者や構想は期待できない。言ってみれば、「野心家の控室」のようになり果ててしまうのだ。敵失待ちの受け皿政党はもう通用しない。

まったく新しい本格的な勢力に期待

今回、衆参の三つの補選、再選挙を通じて、有権者は「今の与党に期待できない」と言ったのだが、「今の野党に期待する」と言ったのではない。ここのところを間違えるようでは、政権交代など実現するはずはない。
自民党にすれば、現政権が今以上に国民の信頼を失うようなら、9月末に任期を終える現総裁を代えればよい。そこまでしなくても、内閣と人事を一新して衆院選という手もある。野党が今のままなら、それだけで現与党政権が続くだろう。
私はかねてから、日本が「世界から必要とされる国」になることを目指したいと考えてきた。留意すべきは、大きな国や強い国ではないという点だ。私は日本が見えを張ったり、背伸びをしたりすることには、常に警告を発してきた。
それだけに、日本がコロナ禍のもと、他国のワクチンに依存しなければならないという現実に、強い衝撃を受けた。世界が一様に困っているこんな時にこそ、日本が必要とされる国であるべきだったと地団駄を踏む思いだ。
秋までにある衆院選において、ポストコロナをにらんだ日本の新しい進路について本格的な論議が展開され、その過程でまったく新しい本格的な勢力(最初は2、3人でもかまわない)が生まれることを願うばかりだ。
時代はしばしば、有為の人材の単騎出陣によって切り開かれることがある。「単なる政権交代」は、むしろ時代を後退させるだけであろう。
【論座より】

 

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