82歳の老人が「空気から水を生成できる機械」で人々を救う
2021.10.17 SUNDAY
参考文献
水は人類にとって最も必要なものの1つですが、乾燥地帯に住む人々には十分に供給されていません。
そのため1990年代、スペインのエンジニアであるエンリケ・ベイガ氏が、「人々を助けるため」に立ち上がりました。
現在82歳になるベイガ氏は、「空気から水を生成できる機械」を使って、難民キャンプで生活している人々にきれいな飲料水を提供し続けています。
目次
空気から水を生成できる機械を発明
世界のある地域では、飲料水を入手するために何キロもの道のりを歩かなければいけません。
飲料水の確保が比較的容易な場所であっても、政治紛争、自然災害、気候変動のために、急に水不足に陥る場合もあります。
実際、ベイガ氏も母国スペインで深刻な水不足を経験しました。
もともとスペインは干ばつに見舞われやすい地域であり、1990年代初頭にはその状態が5年間も続いたのです。
そこでベイガ氏は、水不足で苦しんでいる人々を救うために、飲料水を生成する機械を作ることにしました。
彼が作った機械はエアコンと同じ原理で作用します。
電気を使って周囲の空気を冷やし、温度差によって結露を生じさせるのです。
エアコンのドレンホースからチョロチョロと流れる水や、グラスに冷たい飲み物を入れると水滴がつくのと同じメカニズムですね。
本来であれば捨てたり拭き取ったりしていた結露水を、あえて飲料水のために生成しようとしたのです。
ところが彼の作ったプロトタイプは、水不足に陥りやすい環境(高い気温と低い湿度)では機能しませんでした。
「水不足の人々を助ける」というベイガ氏の最初の挑戦は、失敗に終わったのです。
しかし彼はそこであきらめませんでした。
1日500リットルの水を難民キャンプの人々に提供
2004年、ベイガ氏は水生成機器を扱う企業「Aquaer Generator」を設立。
以前に発明した機械を改良して、飲料水を必要とする世界中の地域に提供できるようにしました。
最新のモデルでは、気温45℃、湿度8%の環境でも水を生成できるようになっています。
小型モデルでは1日あたり50~70リットル、大型設備であれば最大5000リットルもの飲料水を生成できるとのこと。
そして最近、Aquaer Generator社は、非営利団体「Water Inception」を通してレバノンの難民キャンプに1日あたり500リットルの飲料水を生成できる機械を設置しました。
水不足で本当に困っている人に、飲料水を届けることができているのです。
彼は当初の目標を達成し、次のように喜びを表現しています。
「この機械は見事に機能しており、私は本当に幸せです」
現在ベイガ氏は、電力コストや環境への影響を低減するため、機械にソーラーパネルを追加しようと考えています。
82歳になるベイガ氏は、これからも多くの人々を救っていくことでしょう。
Google ニュースを使えば、ナゾロジーの記事はもちろん国内外のニュースをまとめて見られて便利です。
ボタンからダウンロード後は、ぜひフォローよろしくおねがいします。