重大事故に直結する悪質・危険な飲酒運転が、いまだに後を絶ちません。飲酒運転は運転者本人だけでなく、お酒を提供した人や運転させた人、同乗した人も厳しく罰せられます。「このくらいのお酒の量なら大丈夫」という過信は禁物です。運転する人は「飲酒運転は絶対にしない」、周りの人も「飲酒運転をさせない」という意志を持ち、みんなで飲酒運転を根絶しましょう。
インデックス
コラム
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飲酒運転はなぜ危険?
飲酒運転の厳罰化や行政処分の強化、飲酒運転根絶に向けた関係者の取組などにより、飲酒運転事故の件数は年々減少しています。しかし、依然として飲酒運転による悲惨な交通事故が発生しています。
令和2年中の飲酒運転による交通事故件数は2,522件ですが、飲酒していない場合に比べ、死亡事故率は約8.1倍も高くなっています(警察庁調べ)。飲酒運転は、重大事故に直結する極めて危険な行為なのです。
死亡事故率比較(令和2年)
飲酒運転による死亡事故では、次のような特徴が見られます。
- 発生時間は、22時から6時までが全体の約6割を占める
- 年齢層別の免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、30歳未満の年代で多い
- 飲酒死亡事故件数は、30歳未満では22時から6時まで、65歳以上では14時から22時までに多く発生
- 運転者の飲酒状況は、酒酔い又は酒気帯び(呼気0.25mg/l以上)が約7割を占める
- アルコールの影響が大きい状況では、影響が小さい状況に比べて、車両単独による死亡事故が多く発生している
- 単独事故の割合が高い(約6割)。また、死者数の約7割は運転者・同乗者だが、第三者の死者数も約3割に上る
飲酒運転の原因の一つが、ドライバー自身の過信や油断です。
「事故を起こさない自信があった」、「飲んだお酒の量が少ないので大丈夫だと思った」、「目的地が近かった」など、安易な理由から飲酒運転に及んでいます。
また、「出勤のため二日酔いで運転してしまった」、「少し寝たので大丈夫だと思った」といった理由で飲酒運転をしているケースもあります。
お酒に弱いと言われる人だけでなく、お酒に強いと言われる人でも、低濃度のアルコールでも運転操作等に影響を及ぼすことが各種調査研究により明らかになっていますので、飲酒したら絶対に車両等を運転してはいけません!
◆飲酒による運転操作等への影響
安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下する
気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする
車間距離の判断を誤る
危険の察知が遅れたり、危険を察知してからブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる など
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飲酒運転に対する処分や罰則は?
飲酒運転根絶のため、「改正道路交通法」(平成19年9月施行)により、飲酒運転の厳罰化がなされるとともに、行政処分も強化(平成21年6月施行)されました。また、飲酒運転者本人はもちろん、車やお酒の提供者、同乗者にも厳しい罰則が科せられます。
また、アルコール等の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させた場合には「危険運転致死傷罪」として15年以下の懲役に処されます。
酒気帯び運転 | 酒酔い運転 | |
呼気1リットル中のアルコール濃度 0.15mg/l以上 0.25mg/l未満 |
呼気1リットル中のアルコール濃度 0.25mg/l以上 |
呼気中アルコールの濃度にかかわらずアルコールの影響により車両などの正常な運転ができないおそれがある状態 |
【行政処分】 「免許停止」 基礎点数 13点 (停止期間:90日) 【刑罰】 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
【行政処分】 「免許取消し」 基礎点数 25点 (欠格期間(※):2年) 【刑罰】 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
【行政処分】 「免許取消し」 基礎点数 35点 (欠格期間(※):3年) 【刑罰】 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
※欠格期間:運転免許が取り消された場合、運転免許を再度受けることができない期間
(上記の行政処分は、前歴及びその他の累積点数がない場合)
前歴や他に累積点数がある場合は、欠格期間がさらに長くなることがあります。また、呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上0.25mg/l未満の酒気帯び運転でも、免許停止ではなく免許取消しになることがあります。
運転者が酒酔い運転をした場合 | 運転者が酒気帯び運転をした場合 | |
車両を提供した人 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
酒類を提供した人 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
同乗した人 |
上記のとおり、車両や酒類を提供、あるいは運転者が飲酒していることを知りながら車両に同乗した人も、運転免許の有無にかかわらず飲酒運転者と同様に厳しく罰せられ、さらに免許保有者は免許停止または免許取消しになる場合があります。
道路交通法による処分・罰則について詳しくはこちら
- 警察庁広報用リーフレット[PDF:320 KB]
飲酒運転で失うものは計り知れません。事故によって被害者の大切な命を奪ってしまうだけでなく、その家族の人生を一瞬で変えてしまいます。また、運転者本人も、刑罰や行政処分を受けるだけでなく、事故を起こしたことによって、社会的地位(勤め先など)や財産などを失い、自分の家族の人生をも一瞬にして変えてしまうなど、取り返しのつかない結果になります。あとになって、飲酒運転の代償が大きいことに気付くのでは遅いのです。
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飲酒運転をなくすためには?
飲酒運転を根絶するためには、飲酒運転が非常に危険な行為であることを十分理解した上で、運転者とその周囲の人が、飲酒運転は「しない!」「させない!」という強い意志を持ち、皆で協力することが大切です。
飲酒運転をなくすための3つの約束
1.お酒を飲んだら運転しない
運転者はお酒を飲んだら運転せず、例えば公共交通機関や運転代行を利用する。
運転する予定ならお酒は絶対に飲まず、アルコールが含まれていない飲み物にする。
また、飲酒運転を避けるために、飲食店には自動車を運転して行かないなどの対策をとる。
また、翌日に車を運転する予定があれば、それを考慮した飲酒時間、飲酒量を心がけてください。夜遅くまで飲酒した場合には、翌朝も体内にアルコールが残っている可能性がありますので、車の運転は控えましょう。
2.運転する人にはお酒を飲ませない
運転する可能性がある人にはお酒を勧めたり、飲ませたりしない。
3.お酒を飲んだ人には運転させない
飲酒した人には絶対に運転させない。
飲酒運転の車に同乗しない。
飲食店側は、飲酒運転防止のため、帰りの交通手段を確認するなどの対策をとる。
ハンドルキーパー運動
自動車で仲間と飲食店に行き飲酒するときに、「お酒を飲まない人(ハンドルキーパー)」を決め、その人はお酒を飲まず、仲間を自宅まで送り、飲酒事故を防止する運動です。
ハンドルキーパーがいない場合には、公共交通機関や運転代行などを利用しましょう。
酒類を提供する飲食店側も、お客さんが飲酒運転をしないよう、来店時に車で来たかどうか、またはハンドルキーパーがいるかどうかを確認するとともに、ハンドルキーパーへの酒類提供はしないでください。また、お客さんが帰るときには飲酒運転をしないよう毅然とした対応をお願いします。
ハンドルキーパー運動について、詳しくはこちら
- (一財)全日本交通安全協会「ハンドルキーパー運動の推進」
(取材協力:警察庁 文責:政府広報オンライン)
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