【ナゾロジー】
2022.04.25 MONDAY
SNSのチェック、映画鑑賞、ビデオ編集など、今やスマホがあれば何でもできます。
しかし「スマホの操作方法」自体は、あまり変化しておらず、片手では操作できないケースが増えました。
では、スマホの多機能化にうまく順応した、もっと簡単な操作方法はないのでしょうか?
アメリカ・カーネギーメロン大学(CMU)ヒューマンコンピュータインタラクション研究所に所属するクリス・ハリソン氏ら研究チームは、視線と手首の動きでスマホ操作できるシステムを開発しました。
指や音声を使う必要がないため、より直感的で素早い操作が可能になります。
研究の詳細は科学会議『ICMI-MLMI』で発表され、その論文は2021年10月18日にオンライン掲載されました。
目次
スマホ操作は「要求」から「予測」へ
スマホの操作には画面のタップ、フリック、音声入力が一般的です。
決定をタップで行ったり、ページの切り替えをフリックで行ったり、「音楽を再生して」という要求を声で行ったり…。
つまり現在のスマホは、私たちが要求して初めて動作するものとなっています。
これでも登場時はかなり画期的な操作方法でしたが、多くの人はこの操作方法さえも煩わしく感じ始めているかもしれません。
そしてそんな人は、たぶんいちいち画面に手を載せなくても操作できる方法を求めているのではないでしょうか?
研究チームは、そんなもっと直感的で素早い操作のためにはユーザーが「要求」する前に「予測」することが大切だと考えています。
この「予測機能」は、既にさまざまな形で取り入れられています。
例えば、文字の予測変換は、私たちの文字入力をスムーズにしてくれます。
またYouTubeなどの「関連動画」は私たちが見たいものを予測したものであり、毎回の検索を省略してくれるでしょう。
では、スマホ操作を助ける新しい予測機能を生み出せるでしょうか?
研究チームは、視線を利用した予測に着目しました。
視線と手首の動きで直感的に操作できる
視線には、その人の関心や望みが瞬時にあらわれます。
例えば、「ニュース記事の写真を拡大して見たい」と感じる人は、必ずその写真に視線を向けています。
「新しいメールが届きました」と通知が来るなら、そこに視線を合わせてから、メールを開くか無視するか判断することでしょう。
つまり視線は、私たちの要求を予測するのに最適な生体反応なのです。
そこで研究チームは、視線とスマホを持つ手首の振りだけで操作できる新しいシステムを開発しました。
例えば、ニュース記事の次ページに進みたい場合、ユーザーは「次のページ」という表示に視線を合わせてスマホを傾けるだけです。
わざわざ画面をタップする必要はありません。
表示された画像を拡大したい場合も、視線を合わせてスマホを手前に軽く引き寄せます。
通知が来た時も、視線を合わせてスマホを右か左に傾けるだけで、その通知に応じるか無視するかを選べます。
もちろん、「視線を合わせる」ことも操作の1つですが、ほとんどの場合、「こうしたい」と感じたときには既に視線を向けています。
そのためユーザーの使用感は「気になった時に手首をひねるだけ」になるでしょう。
この簡略化された操作が、これまでにない直感的なシステムを生み出しています。
視線と片手のわずかな動きで操作できるため、「コーヒー片手にスマホをガンガン操作する」なんてことも可能なのです。
利用されている「視線追跡システム」自体は、新しい技術ではありません。
しかし、人間の目の動きに後れを取らない高速処理を小型機器に実装できたという点は、大きな成果だと言えます。
また視線と片手操作の組み合わせも、画期的なアイデアだと言えますね。
将来のスマホは、これまで以上に使いやすく、直感的な操作が可能になっているでしょう。
「視線操作」スマホが販売されるのを期待して待ちたいものです。
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