【YOKKA】
2022/06/27
全体が国宝~浄土寺
瀬戸内の海が見える寺
尾道の浄土寺は海辺からすぐの鉄道山陽本線をくぐって急な石段を登っていきます。
山門で振り返ってみると、 海が見渡せます 。海や島が見えます。
この尾道水道には色んな船が行き交っています。お寺から見える景色としては珍しいでしょう、こんなのは初めてです。
浄土寺は 境内全体が国宝指定 されています。ほとんど知られていませんが、全体が国宝指定というのは 全国でも2例 だけ、 もうひとつは京都の清水寺 です。
国宝 多宝塔
彩色が美しく、境内の中でも目立っています。国宝に指定されている多宝塔は全国に6つありますが、なかでも 美しいといわれるトップ3 は 滋賀県の石山寺 と、 高野山 、そしてこの 浄土寺 です。
特に全体の均整が素晴らしくとれています。 本堂も国宝 です。
秘仏 十一面観音
33年に一度の開帳になっている本尊ですが、前回は平成13年に開帳されたということなので、 次に見られるのは令和16年 とまだまだ先のことです。
平安時代の作なので1000年もここにいる観音様からみれば、しょっちゅう顔を見せているつもりなのでしょう。
浄土寺にはこれ以外にもたくさんの文化財が残っています。 3体ある聖徳太子像 も見どころです。
真言宗泉涌寺派大本山 浄土寺
- 住所:広島県尾道市東久保町20-28
- 電話:0848-37-2361
- 拝観料:600円 ※各種割引等については、ホームページなどで確認してください。
- 拝観 9:00~16:30
浄土寺
616年、聖徳太子の創建と伝えられています。 足利尊氏が九州平定や湊川の戦いの際、戦勝祈願をした寺としても有名です。 「本堂」「多宝塔」は国宝、「山門」「阿弥陀堂」は国重文、境内一帯は国指定文化財に…
普通の人々のささやかな願い~明王院
ひとりひとりの祈りを乗せた五重塔
明王院の五重塔は700年近く前に建てられ、国宝です。 この中にある大日如来坐像とされてきた仏像は、どうやら弥勒菩薩であることがわかってきました。
理由のひとつが、背後の来迎壁に描かれた曼荼羅図が兜率天(とそつてん)という、弥勒浄土らしいからだというのです。曼荼羅図は現在は東京国立博物館にあります。
弥勒菩薩は、お釈迦様の次の仏、未来の仏といわれ 、人の弥勒信仰は死後にこの弥勒浄土へ行き、56億7000万年後というはるか未来に生まれ変われるというものです。
お寺や神社の伽藍は権力者やお金持ちによって建立されたり再建されたり保護されることが多いですが、この五重塔は 700年前のこの地区の人々の「一文勧進」 、つまりひとり 一文ずつ出し合って建てられた というのです。一文は現在でいうと30円くらいですが、そうして見ると、気迫というか迫力があるように感じるから不思議です。名もない 人々のささやかな祈り 、願い、悲しみ、そんなものすべてが塔になって700年建ち続けているのです。
秘仏の11面観音
本堂も国宝です。建築的には 和様と中国様の折衷仕様 ですが、内部外陣の輪垂木天井などは他に見たこともないもので、この地方の職人さんがいかに奈良や京都などの定式化された建築に抵抗していたかがわかります。
秘仏の11面観音は、比叡山延暦寺を開いた伝教大師 最澄が彫った もので、ひと彫するのに3度礼拝してからという「一刀三礼」でかなりの時間をかけて彫られたようです。
明王院
- 住所:広島県福山市草戸町1473
- 電話:084-951-1732
- 拝観時間: 8:00~18:00
- 境内無料
- 駐車場:あり、無料
観光スポット 【国宝】明王院
福山市の観光情報とMICE・コンベンション情報を紹介する公式サイトです。福山市内で開催されるMICE・コンベンションに対して円滑な運営と支援を行うとともに、鞆の浦や福山城など個性豊かな観光情報をお届…
建築テクノロジーの終点
浄土寺は現在、世界遺産の登録へ動いているといいます。
国宝や文化財は京都と奈良に集中しているイメージがありますが、航路として栄えた 瀬戸内は独自の文化 を生み出してきました。
五重塔を見ていると、古代の建築の美しさに呆然とするしかありません。これは単に技術がいいとか歴史があるとかではなく、その時代を生きた 人々の祈りが伝わる ということでもあります。現代はこれより何倍も高いハイテクビルやタワーがどんどん建ちますが、ほんの100年後には解体される運命でしょう。人の手で修繕され、500年1000年と繋がっている建築こそむしろテクノロジーの本質なのかもしれません。
出典・参考