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【TSS】「男性の育休」取得率100% 広島の先進企業の取り組み/2022.11.24

【TSS】

2022.11.24

国が男性の育児休業制度を推進する中、先進的な企業の取り組みを取材しました。そこには「できない」を「できる」に変えるヒントがありました。その【前編】です。

先週、広島市内で開かれた、「男性育休取得セミナー」。企業のトップや人事担当者向けに男性育休の機運を高めようと企画されました。
今年4月、「改正育児・介護休業法」が施行され、企業は育休を取得しやすい環境づくりや労働者へ取得するかどうか確認が必要となり、更に先月、子供が生まれた直後に休める産後パパ育休を創設。育児休業も分割して取れるなど制度は変化しています。
広島県の男性の育休取得率も、24%まで伸び、全国平均の1.7倍です。

【湯崎知事】
「県全体で令和7年度(3年後)に男性の育休取得30%というのを目指しています。ぜひ多くの企業の皆さんにご協力をいただきたいと思います」

一方で参加者は、
【人事担当者】
「制度は作ったが、うまく運用するために参考にしたいと思い参加させてもらいました」
【経営者】
「育休を取られたあとの抜けた人材をどうするかというところが、セクションごとにそんなにたくさん人数いないので、どう対応するべきかが課題」

民間の調査でも、マネジメント層の8割近くが男性の育休に賛成している一方で、「人手不足で会社の業務に支障が出る」と感じる人も同じ位いることが分かっています。
こうした中、先進的な企業が紹介されていました。

【ひろぎんホールディングス人事総務グループ・木下麻子担当課長】
「この4月から子供が生まれるという方の申請ベースで100%(が育休取得)。男女ともに仕事と育児両立でできる社会づくりに企業の立場から貢献」

広島銀行は、今年度グループ全体で育休取得率100%。実は、前の年までの取得率は15%程度で推移していました。今年4月から約50人が取得。急増した背景は?

【ひろぎんHD・木下さん】
「この4月から推奨パターンを公開したのが新しい部分。推奨パターンには2種類あって一つは1ヵ月程度の育児休業の取得。もう一つは5日以上の育児休業プラス1ヵ月以上の短時間勤務を取得する。この2パターンのどちらかを原則取得する」

Qこのパターンを作ると何か変わりましたか?
「劇的に変わりました。やはり短時間勤務が併用できるとなると、それは明日からでも抵抗なく始められる」

こちらの企業が大切にしたのは、そこに至るプロセスでした。

【ひろぎんHD・木下さん】
「ひとつが入社3年目までの男性職員全員にアンケートを実施して、育児休暇を取りたいか取るならどれくらいかをアンケートした」

若手社員から寄せられた意見に驚いたと言います。アンケートの結果、9割以上が育休取得を望んでいたのです。さらに、1ヵ月以上の取得を希望する人が7割以上いることもわかりました。次に、実際に育児をする社員から本音を聞く会を開きました。すると…。

【ひろぎんHD・木下さん】
「育児休業はピンポイントでいいので、特に子供の首が座るまでは早く帰ってきてほしいという声。旦那さんの帰りを今か今かと待っている育児中の女性の切実な声が伝わる。これは制度に反映させたいと思った」

こうして独自の制度が誕生。あとは、社長からのトップダウンで、推進していきました。
現在育休中の的場さん。社内結婚です。産後、妻と子が里帰り出産を終えたタイミングで1ヵ月の育休を取得しました。

【広島銀行・的場駿介さん】
「取らせてもらって本当によかった。この育休あけても絶対良い影響与えるんじゃないか」
【妻・文菜さん】
「本当に助かっています。ごはんだけはどうしても作れないと言ってるが、食器の洗い物と洗濯は積極的にやってくれる」

実は育休で夫婦関係が良好になる人が多いそうです。
でもお子さんにメロメロで仕事に復帰したなくなりませんか?

【広島銀行・的場さん】
「やっぱりワークライフバランスが整ってある程度育児もできるようになってきたので、仕事復帰しても仕事と育児両立しながらより仕事が頑張れるんじゃないか」

育休取得率100%の実現。そこにはもうひとつ働き方全体の変革がありました。
とある水曜日の夕方。

【石井記者】
「午後5時です。まだ外は明るいんですが、続々と従業員の方が出てきています。

毎週水曜日は本店で働くおよそ1000人が残業をせずに帰ります。さらに、

【ひろぎんHD・木下さん】
「ここにいる従業員みんな勤務間インターバルを導入している。前の日終了した時間から次の日に働き始める時間まで必ず11時間以上開けなきゃいけないという制度を取り入れています」

十分な休息で生産性をあげるための制度を導入。当初はできない人も多かったそうですが、今では、ほぼ全員実現しています。

【広島銀行決済サービス部・池上貴之さん】
「時間が決まっているので、物事の優先順位をつける。この時間には帰ろうということで逆算して仕事をするような意識がすごい出てきた。効率性が上がった」

【ひろぎんHD・木下さん】
「育児を担う人ばかりに制度が充実していくと、その他の従事者からすると複雑な思いがある。見えない病気。後は介護ですね。それぞれ少しずつ何かしら事情を持っている。すべてひっくるめて充実させることによって”お互い様”の企業風土が生まれる」

<スタジオ>
ポイントは、男性育休は、あくまで働き方改革の一環で、特別視しないこと。
広島銀行は、社員3800人を超える地域のリードカンパニーということもあり、モデルケースとなれる改革を意識して推進しているということです。

(コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん)
「素晴らしい。お互いさまというキーワードあったが、私には、今後介護とかの問題が出てくる。組織で支えあうシステムは良いと思う。半面、広島銀行のような大企業ばかりではなく、日本には中小企業が多い。どこまでこれができるか」

大企業だからできる、という見方をする人、意見もあるかもしれませんが、中小の組織でも推進する会社が出てきた。セミナーの会場では、印象的なトップの声も聞くことができました。

※【後編】に続く


 

 

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