【HTV】
2022.12.09
政府は新型コロナの分類を季節性インフルエンザと同じ「5類」に見直すことを検討している。5類となった場合、何が変わるのでしょうか。
コロナ禍で迎えた3度目の冬。ウィズコロナの動きが進み、日常が戻りつつあるなか、今、新型コロナの扱いそのものが見直されようとしている。何が変わろうとしているのか。広島県医師会の松村誠会長に聞いた。
■広島県医師会松村誠会長「感染症法で、法律的にウイルスの強さによって分類されている。重症度を見ると(季節性インフルエンザと)変わらないから、(新型コロナを)5類に移行することも検討しようという考え方もある」
感染症は法律上、感染力や罹患した時の重篤性などで、5つの分類に分けられる。新型コロナは現在「2類相当」で、入院指示や就業制限があるが、季節性インフルエンザと同じ5類になると、そうした制約がなくなる。また、受診できる医療機関も変わっていく。
■松村会長「どのかかりつけ医でも医療機関を受診しても受け付けてもらえるようになる。利便性があがる」
□病院待合室雑感一方、大きく変わるのが費用の負担だ。
■松村会長「5類になると一般診療になるので、インフルエンザと同じように3割負担だったら、検査にしろ、治療にしろ入院にしろすべて保険適用になっていくので、実費負担になると。検査だけでも数千円、2、3千円はかかってく」
ワクチン接種では、予防のためのワクチンはどうなのでしょうか。
■松村会長「ワクチンの取り扱いは医療費とは違うので別だ。ワクチンは接種を国が認めれば今まで通り無料だ」
新型コロナが「5類」に見直されれば、様々な変化があるが、松村会長は注意すべき点は変わらないと呼びかける。
■松村会長「感染症法上で2類、5類にかかわらず、新型コロナウイルスは存在するし、全く変わらない。今まで通りワクチン接種は進める。異常があれば検査を積極的に受ける。換気やマスクなど3密を避けて感染防止に努めるということは全く変わらない」
こちらは大阪府が今月発表した調査データだ。新型コロナと、季節性インフルエンザの重症化率と死亡率をみると、ほぼ同程度になっている。こうしたこともあって5類への見直しが検討されているが、5類になった場合、大きく変わるのが費用負担だ。検査費用はおよそ3000円ほど。治療薬は、高齢者や重症化リスクが高い人向けの薬の場合、保険適用による3割負担だとしてもおよそ3万円かかるという。入院の場合はさらに負担が増えることになる。ただ、専門家の中には公費負担をすべてやめることに反対する意見もあるという。また、松村会長は費用負担によって受診控えが増えるのではと心配していた。そして、感染者数を把握する方法も変わってく。現在は、すべての医療機関からその都度、報告されているが、5類になると、一定の医療機関でのみ患者を把握し、定期的に報告する「定点把握」となる。患者全員を把握できないため重症化の傾向などがわかりにくくなる一方で、医療機関にとっては報告の手間が少なくなる。新型コロナの分類の見直しは、これから議論が本格化していくことになる。