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【AERA】〈能楽〉は究極の「成功脳」プログラミング。/2022.12.0

【AERA】

2022.12.07

「能ってなんか難しそう」というあなた、ちょっと待って。足利義満、信長・秀吉はみな〈能楽〉(※1)に夢中だった。そのワケ、知りたくないだろうか? それはビジネススクールでも得られない「成功脳」が養える秘密があるからなのだ。奈良時代に大陸からやってきた物まねや軽業・踊りが大道芸として演じられていくうちに、田植えの豊作祈願や邪気祓いの呪術が融合した。これをカタルシスが起こる壮大な音楽劇〈能楽〉にまとめ上げたのが室町時代の観阿弥・世阿弥(※2)だ。

〈能楽〉の舞台がはじまると、揚幕(あげまく)の向こうからおもむろにお囃子(はやし)が聞こえてくる。ヨォー!というかけ声。鼓がポン!と鳴る。寄せては返す波のよう。ヒューヒュー鳴る笛と地謡(じうたい)の響きは風だろうか。自然音と同じ性質のかすれた〈非整数次倍音〉(※3)を含む音色が多い。そのため、自分で意識しなくても脳が記憶の中の自然を連想してくれるのだ。知識がなくとも委ねるだけで「気持ち良い」体感が広がっていく。

やがて、面(おもて)をつけた主役・シテが音もなく現れると、いつの間にか不思議な異空間にやってきた気分になるだろう。豪華な刺繍が施された能装束は繭のようにふくらんでいる。腰を落としてスリ足で橋懸(はしがかり)(※4)を歩く姿はエイリアン? そう、主役のほとんどは、亡霊・鬼・神など超自然的な存在なのだ。

〈能楽〉特有の静かな時間が続くと、うとうとするかもしれないが、眠くなってもいい。入眠手前のシータ波が出てきた証拠だ。修行僧が深い瞑想をするときに観測される脳波で、情報の良しあしを判断する顕在意識・大脳の働きが停止状態になるため、観ているだけで無意識へのアクセス力・直観力の増幅が可能になるからだ。

こうなると脳は現実的に起こっているのか・そうでないのか判断をせず、そのときイメージした世界観を素直に受容してくれるようになる。だから〈能楽〉の舞台では一日の演目の締めくくりに〈祝言能〉と呼ばれるめでたい舞台を短くやって終わる。夢見状態の人々に祝言を放てば、日頃の負の思考を払拭して成功イメージをすり込めるからだ。能は究極の「成功脳」プログラミングなのだ。

(※1)日本最古の芸能であり、ユネスコ無形文化遺産。能と狂言を総称して〈能楽〉という。
(※2)能楽を大成した親子。現代の能楽諸流派の祖。
(※3)整数倍ではない振動を含む不規則な周波数を持つ音。
(※4)演者の控室である「鏡の間」と舞台とをつなぐ通路。

「アエラスタイルマガジンVOL.53 AUTUMN/WINTER 2022」より転載

Text: Sayaka Umezawa(KAFUN INC./MOIKA GALLERY)
Photograph: Yoshiyuki Ikuhara/Aflo


 

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