やはり、岡山からは名ランナーが出る-。

そう予感させる快走だった。

陸上界のニューヒロイン、岡山代表のドルーリー朱瑛里(しぇり、岡山・鶴山中3年)が、3区(3キロ)を9分2秒で駆けた。17人抜きで区間新記録を樹立し、「1人でも多く抜いて、岡山チームに勢いを与えようと思っていた」と笑みを浮かべた。

ドルーリーの出身地、岡山は、名立たる女性ランナーを輩出してきた地域でもある。

1907年に御津郡(現岡山市)に生まれた人見絹枝(ひとみ・きぬえ)さんは、28年アムステルダムオリンピック(五輪)800メートルで銀メダルを獲得した。日本人の女性選手として、初めて五輪メダリストに輝いた。

女子マラソンで名をはせた有森裕子さん(56)も岡山市出身。92年バルセロナ五輪でつかんだ銀メダルは、日本女子陸上界64年ぶりのメダル獲得となり、くしくも同郷の人見さん以来の快挙となった。96年アトランタ五輪でもマラソンで銅メダルを手にし、「自分で自分を褒めたいと思います」という言葉は流行語にもなった。

総社市出身の新谷仁美(34)は女子1万メートルの日本記録(30分20秒44)保持者。12年ロンドン五輪で5000メートルと1万メートルに、21年東京五輪で1万メートルに出場した。初マラソンとなった07年の第1回東京マラソンでは2時間31分1秒をマークし、女子の初代王者にも輝いている。

このように、岡山は数多くの名選手を送り出してきた。

中学3年生のドルーリーは同郷の偉大な先輩たちの背中を追いかけ、これからも走り続ける。