【東洋経済】
2023/03/15
傲慢で短気なジョブズが部下に慕われていた訳
1. スマートフォンを下に置く
現代社会に生きる私たちは、つねにデバイスに注意力を奪われている。そんな状況で誰かに100%の注意を向ければ、それだけで明確な献身のサインになる。デバイスの本来の役割は、遠くの人とつながることであり、すぐ隣にいる人を遠ざけることではない。
2. インタビューの達人になる
周りの人たちの人生に興味を持つ。なぜ同僚はああいう決断をしたのだろう? 彼らはその過程で、何に驚き、何に喜び、何に失望したのだろう? 会話のきっかけがつかめなかったら、ラジオ番組の名司会者、テリー・グロスの決まり文句、「あなたについて話してください」(*2)を借りればいい。
メンバーの行動に興味を持つ
3. 彼らの現実を体験する
メンバーたちが職場で何をしているのか気になるのは、厳格なリーダーにありがちな態度だ。さらに、「どうせたいしたことはしていない」という思い込みとセットになっている。勝手に判断するのをやめて、彼らの行動に興味を持って観察しよう。あるいは、相手の仕事にずっと同行する「ジョブシャドウイング」を行うという方法もある。彼らの時間の使い方に本当に問題があるのなら、正しい時間管理を指導すればいい。
4. 自分に何ができるか尋ねる
誰かの役に立ちたいときは、自分に何ができるか相手に尋ねてみよう。自分の仕事と相手の仕事をごっちゃにしてはいけない。ここでのあなたの目的は、相手の成功を助けることだ。そして、相手の成功を確実に助けるような行動が見つかるまで、この会話を終わりにしてはいけない。
5. 先回りして助ける
チームのメンバーの中から、どんな仕事を抱えているかよく知っている人を選び(あなた自身が与えた仕事であれば確実だ)、その人の負担を軽くしてあげる。相手が特に困っている仕事や、相手の長期の目標と関連のない仕事を取り除けば、「私はあなたを理解している」という明確なメッセージを送ることができる。
6. 食べ物を与える
相手が食べたいと思っているものをごちそうするのが望ましいが、サプライズでドーナツの差し入れを届けるのも効果的だ。食べ物を与えるのは、相手の存在や人間らしさをもっとも根源的なレベルで認めるということだ。お祝い、感謝、残業時の差し入れなど、口実はいろいろある。食べ物は相手への献身を伝える明確なメッセージになる。
7. 休みを与える
数々の研究からわかっているように、ダッシュが効果的なトレーニングになるのは、適切な休息と組み合わせたときだけだ。チームの回復のための時間を確保すること。特に自分は大丈夫だと過信しているメンバーを休ませることが大切だ。直属の部下であれば、休ませるのは簡単だろう。問答無用でその日は(あるいはもっと長く)家に帰せばいいだけだ。
感謝の気持ちは行動に表してこそ
8. 仕事以外の人生もあることを認識する
誰かの多面性を認めていることを伝える方法はいろいろある。だから、相手の子どもに興味がないなら、スパイダーマンがテーマのパーティーについて詳しく聞く必要はない。ただ残業や休日出勤を最小限にするだけでも十分に効果はある。子育てや親の介護はやはり女性が担うことが多いので、相手が女性であればこの方法は特に有効だろう。
9. 心からの感謝を具体的に伝える
本当にありがたいと思っていることがあるなら、その感謝の気持ちを本人に伝える。相手の行動と、それがもたらした効果を具体的に描写する。自分の献身をもっと相手に印象づけたいなら、感謝の手紙や、お礼の品など、何か形のあるものを贈るという方法もある。ありきたりな方法でまったく問題ない。花束を贈られて喜ばない人などいるだろうか?
10.「私」を減らし、「私たち」を増やす
言葉には大きな力がある。言葉によって現実を変えることも可能だ。手始めに、自分が1日で何回「私」という言葉を使っているか数えてみよう。そして次に、そのうちの適切な割合を「私たち」に置き換える。さらに「あなた」も増やすことができたら加点対象だ。たとえば、「あなたの希望と夢をかなえるために、私たちに何ができるでしょう?」というように。
New York Times, November 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/11/17/style/self-care/terry-gross-conversation-advice.html.