腎臓には、血液から老廃物を濾過し、尿として体外に排出する機能がある。症状を自覚したときには病気が進んでいるケースが多いため「沈黙の臓器」と呼ばれる。できるだけ早く異常を見つけるにはどうすればいいのか。腎臓専門医の髙取優二さんは「尿を見れば腎臓の状態が分かる。おしっこが泡立つ人、夜中に何度もトイレに行く人は注意したほうがいい」という――。

※本稿は、髙取優二『人は腎臓から老いていく』(アスコム)の一部を再編集したものです。

モダンなトイレの標示

写真=iStock.com/cezars
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元気な腎臓がなければ長生きはできない

おしっこは、健康のバロメーターです。

あなたのおしっこはどんな状態でしょうか。

●おしっこの色が赤くにごっている、もしくは白っぽい
●おしっこの泡立ちがすごい
●夜中に何度もトイレに行く

どれか一つでも当てまはる人は、長生きできないかもしれません。なぜなら、腎臓に何らかの異常を抱えている可能性があるからです。

なぜ腎臓が長生きと関係するのでしょうか。

あなたは「おしっこが丸一日出ないと、命のキケンにさらされる」という話をご存じでしょうか。それは、腎臓が血液をきれいにするという役割と関わります。

腎臓で血液中の老廃物(体のゴミ)や毒素をろ過し、おしっこを通じて体外に排出するのです。血液に乗って運ばれてきたゴミは、腎臓の糸球体という組織でふるいにかけられて、不要なものはおしっことして排泄されます。つまり、おしっこは血液からできているわけです。

糸球体は毛細血管でできており、血管の状態が悪くなると、血液をろ過するフィルター機能が落ちてしまいます。糸球体の働きが低下してふるいがザルになると、血液中にゴミが残るだけでなく、必要なものはおしっこに混ざってどんどん出ていきます。

おしっこが出ないと毒素が全身に回る

もし、腎臓が衰えておしっこがうまく作られなければ、「汚い血液」が体中を巡り続けてしまいます。こうして引き起こされるのが、「尿毒症」です。

尿毒症になると、次のような症状が現れる恐れがあります。

●体が疲れやすく、すぐにだるくなる
●食欲が低下する
●全身がむくむ
●皮膚が黒ずむ
●骨がもろくなる
●目が見えにくくなる
●思考力が低下する

毒素が体中を回るということは、これだけ全身の機能が落ちてしまうのです。