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【nazology】紙に不安や愚痴を書いてゴミ箱に捨てるだけで気分が軽くなる/2024.01.11

【nazology】

2024.01.11

ネガティブな考えを紙に書いてゴミ箱に捨てるだけで否定的な考えが和らぐようです。

米オハイオ州立大学(OSU)のパブロ・ブリニョル氏(Pablo Brinol)らの研究チームは、参加者に自分の身体に対する否定的な考え(たとえば、ちょっと太ってる)を紙に書き出してもらい、その紙をごみ箱に捨てるという一風変わった実験を行いました。

実験の結果、否定的な考えを紙に書き出し、部屋のごみ箱に捨てた人は、ネガティブな考えが前よりましになることが確認されたのです。

逆に考えを書いた紙を捨てるのではなく、ポケットや財布にしまうと、その考えを強く固辞する傾向があるようです。

研究チームは「自分の考えにゴミなどのラベルを貼ることで、その考えに対する態度や解釈が変わってくるようだ。」と述べています。

研究の詳細は、学術誌「Psychological Science」にて2013年1月1日に掲載されました。

Bothered by negative, unwanted thoughts? Just throw them awayhttps://www.sciencedaily.com/releases/2012/11/121126110427.htmThrow Those Nasty Thoughts Awayhttps://www.psychologytoday.com/ca/blog/choke/201301/throw-those-nasty-thoughts-awayHow to Stop Negative Thoughtshttps://www.verywellmind.com/how-to-change-negative-thinking-3024843
Treating thoughts as material objects can increase or decrease their impact on evaluationhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23184587/

嫌な考えを消すにはどうすればいいのか

愛する人の死や過去の失敗、トラウマなど。

読者の皆さんは抑え込みたいにも関わらず、頭に浮かんでくる考えはありますか。

もしあるのであれば、頭に浮かんできたときにどう対処しますか。

別の考えに意識を逸らしたり、嫌な考えや記憶の解釈をプラスに変えたりと自分なりの方法を持っていると思います。

近年の研究によると「嫌な考えを紙に書き、ごみ箱に捨てる」だけで否定的な考えが和らぐことを報告しています。

その研究は、「Psychological Science」に投稿された、米オハイオ州立大学のパブロ・ブリニョル氏(Pablo Brinol)らの研究です。

彼らは高校生83名を集め、自分の身体に対するポジティブ(あるいはネガティブ)なところを3分間できる限り書き出してもらい、以下の2つのグループに分けて異なる行動を取ってもらいました。

実験群:書き出した紙を部屋にあるごみ箱に捨てる

統制群:書き出したリストの文法とスペルを確認する

その後、自分の容姿に対する評価(悪い-良い、魅力的でない-魅力的である、嫌いー好き)をしてもらっています。

実験の結果、リストの文法とスペルを確認した人と比較して、自分の身体に対する否定的な考えを紙に書き出し、部屋のごみ箱に捨てた人は、ネガティブな考えがよりましになることが確認されました。

実験の結果を改変。「自分の身体に対する態度」の得点が高いほど、自分の身体に肯定的な評価を行っていることを意味する。
実験の結果を改変。「自分の身体に対する態度」の得点が高いほど、自分の身体に肯定的な評価を行っていることを意味する。 / Credit: Brinol et al., (2012).

また逆に自分の身体に対する肯定的な考えを紙に書き出し、部屋のごみ箱に捨てた人は、自分の身体に対するポジティブな印象が減少するようになりました

研究チームは「自分の考えを紙に書きごみ箱に捨ててしまうと、内容がポジティブなものであろうとネガティブなものであろうと、その考えに対するこだわりが控えめになる」と述べています。

しかしこの実験の結果には、本人のもともとの身体に対する否定的(あいるいは肯定的な)考えが結果に影響を与えている可能性が考えられます。

そこで研究チームは、多くの人が肯定的な考えを持っていると考えられる地中海式食事法に対する考えがどれほど変わるかを調べました。

実験には高校生284名が参加しました。

彼らは、参加者に地中海式食事法に対するポジティブ(あるいはネガティブ)な部分を3分間リスト形式でできる限りノートに書き出してもらい、以下の3つのグループに分けて行動してもらいました。

実験群1:文字を書いたページをちぎり、部屋にあるごみ箱に捨てる

統制群:文字を書いたページをちぎり、机の上に置く

実験群2:文字を書いたページをちぎり、自分のポケットや財布にしまう

その後、地中海式食事法に対する評価(賛成-反対、健康的-健康的でないなど)をしてもらっています。

実験の結果、ちぎったページを机の机の上に置いた人と比べて、ごみ箱に捨てた人とポケットや財布にしまったは、最終的な評価が偏る傾向が見られました。

具体的には、肯定的な意見を捨てた人は、より否定的な評価に、否定的な意見を捨てたは、より肯定的な評価に偏りました

実験の結果を改変
実験の結果を改変 / Credit: Brinol et al., (2012).

また、書いたページを財布やポケットにしまった人は、最終的な評価で書き込んだ考えをより強く固辞する傾向が確認されたのです。

研究チームは「自分の考えにゴミなどのラベルを貼ることで、その考えに対する態度や解釈が変わってくるようだ。たしかに紙に不満や愚痴を書いてゴミ箱に捨てるというのは、ばかばかしいように聞こえるかもしれない。しかし実際にこの行動を取ることでその人の物事に対する解釈は影響を受ける」と述べています。

もしかすると自分の大事にしている教えなどを紙に書き、その紙を財布やポケットに入れておくことで、強く意識し、態度や行動がその考えに沿うように変わるかもしれません。

しかしこの書いた紙をごみ箱に捨てたり、ポケットに入れたりする行動はどれほど重要なのでしょうか。

研究チームは大学生78名を、①PC上で地中海式食事法に対する否定的な考えをメモし、そのファイルをごみ箱に捨てる(あるいはディスクに保存する)のを実際に行動する人と、②地中海式食事法に対する否定的な考えをPC上にメモし、ごみ箱に捨てる(あるいはディスクに保存する)のを想像する人の2つのグループに分け、最終的な評価を比較しています。

実験の結果、メモをごみ箱に捨てる、あるいはディスクに保存する行動を実際に行わず想像しただけの人は、地中海式食事法に対する考えに影響を与えませんでした。

実験の結果を改変。
実験の結果を改変。 / Credit: Brinol et al., (2012).

この結果は、考えを捨てることを想像するだけでは意味がなく、実際に行動する必要があることを意味します。

研究チームは「もちろん自分の考えを紙に書き、ごみ箱に捨てることで、その考えをは完全に消えたわけではない。しかしその考えは一時的に消失し、ネガティブな考えだった場合は楽になります」と述べています。

もし否定的な考えが繰り返し頭に浮かんでしまう場合は、それを紙に書き出し、ごみ箱に捨ててみてはいかがでしょうか。

逆に自分が大事にしたい考えなどは手帳や紙に書き、持っておくことで、その考えに矛盾しない行動を取ることができるようになるかもしれません。


 

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