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【rcc】「瀬戸内海でも津波はすぐ来る」能登半島と“同じタイプ” 海底活断層が複数存在 地盤隆起のおそれも 広島湾の海底活断層は危険度“最高ランク”(Sランク)評価/2024年3月10日

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2024年3月10日

「能登半島地震」は海底を走る活断層を震源とする直下型地震でしたが、広島や山口の沖合の瀬戸内海の海底には、能登半島周辺の活断層と同じような特徴を持った活断層が複数存在しています。

広島湾には国内の活断層の中でも、大きな地震が発生する確率が最も高いランク(Sランク)と評価されているものもあります。

専門家は瀬戸内沿岸の都市部でも「激しい揺れ」や地震発生直後の「津波」に襲われるリスクがあると指摘します。

「能登半島地震と同じような津波・隆起のおそれ」広島湾に潜む活断層

国が発表している主要活断層のうち、中国地方で多くの活断層が集まっているエリアが広島県西部から山口県東部にかけての一帯です。

京都大学防災研究所 西村卓也教授(地震学)

「中国地方でみると、広島県や山口県あたりに活断層が多数あるが、地盤の動きを示す矢印の方向をみてもわかるように、ぎゅっと押されている。その向きと合うような活断層がある。
全体として中国地方の中でも広島周辺、安芸灘周辺は、地震を引き起こすひずみがたまる速さを示す『ひずみ速度』が高めの場所であることは間違いない」

これまでに広島湾では、複数の活断層が存在することが確認されています。阪神・淡路大震災のあと、海上保安庁の測量船などによる調査で、広島湾の海底にも複数の活断層が存在することがわかっています。

江田島市沖から山口県の沖合にのびる「安芸灘断層帯」は、国が活断層で大きな地震が発生する確率について評価している全国の活断層の中で、最も危険度高いランク(Sランク)に評価されています。その確率は、阪神・淡路大震災の発生前に評価されていた確率よりも高くなっています。

能登半島地震では、活断層が海底部分を走るものも含めて長さ150キロにわたってずれ動いたことで、マグニチュード7.6の大地震となりました。激しい揺れだけでなく、地震発生直後には津波が発生したほか、海岸が大きく隆起するなどの被害も相次ぎました。

もし、広島湾の海底を走る活断層で地震が起きると、能登半島と同じようなことが広島県でも起こるおそれがあると指摘します。

京都大学防災研究所地震災害研究センター 西村卓也教授(地震学)

京都大学防災研究所 西村卓也教授(地震学)
「広島湾のあたりの断層がもし動くと極めて陸に近い断層。かつ多くの断層が『逆断層』というタイプで地面に段差ができるような能登と同じような断層。特に津波が出やすいタイプ
また、津波だけでなくて、能登で起きたように海岸が隆起して漁港が干上がったりする災害も起こることがあるような地域」

今後30年以内に70%から80%の確率で起こるとされる「南海トラフ地震」。マグニチュード8から9の「巨大地震」によって、最悪の場合、死者は全国で32万人以上と想定されています。ただ、西日本では南海トラフ地震が起こる前の「地震活動期」にすでに入っているといいます。

京都大学防災研究所 西村卓也教授(地震学)

「主に中部、近畿、中国、四国、南海トラフから比較的距離が近い所の地震は、南海トラフから非常に大きな影響を受けて、南海トラフ地震の前50年、後10年くらいの間に集中する『地震活動期』が知られている。
前回の南海トラフ地震、昭和東南海地震(M7.9 1944年)、昭和南海地震(M8.0 1946年)のあとしばらくこの地域では大きな地震がなかったが、1995年の阪神・淡路大震災(M7.3)以降、鳥取県西部地震(M7.3 2000年)、鳥取県中部地震(M6.6 2016年)があり、また熊本地震(M7.3 2016年)を含めて、徐々に地震活動が高まっているのではないかという感覚がある。
次の南海トラフ地震に近づいているために起こり始めているのではないか、活動期に入っているのではという印象を持っている。」

南海トラフ地震は、「海側のプレート」と「陸側のプレート」の境界付近が広い範囲で大きくずれるため巨大地震となります。それに対して、近年、西日本で相次いでいるのは、地表付近の活断層を震源とする「内陸地震」です。南海トラフ地震に比べて地震の規模は小さいものの、地表のすぐ近くで起こるため激しい揺れを伴います。

昭和のはじめに起きた前回の南海トラフ地震が発生する前、西日本各地では大きな内陸地震が相次ぎました。

瀬戸内海でも「すぐに津波が到来」 地形的に影響が長引くおそれ

広島県がまとめた県内に影響を与える可能性がある地震の被害想定です。南海トラフ地震、芸予地震と同じタイプの地震、海底の活断層の3つのタイプからそれぞれ一つずつあげています。

県内で予想され津波で到達水位が最も高いのは南海トラフ地震で4メートル。ただ、「岩国沖―広島湾活断層」でも3.1メートル、芸予地震と同じタイプのプレート内地震でも2.7メートルが予想されています。

一方、地震発生後に最大の高さの津波が到達する時間は、「南海トラフ地震」では地震発生から4時間以上経過してからとなっていますが、「岩国沖―広島湾活断層」の想定ではわずか18分後です。さらに津波の影響が出始めるのは地震発生から「0分後」とされています。つまり地震発生直後から何かしらの津波の影響が出るという想定です。

そしてこの3つのタイプの地震ともに、想定される死者の原因のほとんどが「津波」によるものとされています。

中央大学理工学部 有川太郎教授

津波のメカニズムに詳しい中央大学の有川太郎教授は、瀬戸内海という地形が、津波のふるまいに大きな影響を与える可能性があると指摘します。

中央大学理工学部 有川太郎教授(港湾工学)

「瀬戸内海の場合だと津波が中に入ってきて、なかなか外に出にくい。何回も瀬戸内海の中では反射・往復している。その中で、場合によって反射しているものと、別の方から来る津波が合わさって大きな津波になることがあるのと、なかなか反射している津波のエネルギーは消えない。」

「もしかすると1~2日くらい行ったり来たりする可能性もあるので、いつ警報を解除するかとか、場合によっては半日経ったあとに津波が大きくなってそこで被害を及ぼすことも考えられる。」

あらためて瀬戸内海でも、すぐに津波に襲われる危険性があることをあらためて認識する必要があります。

 

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