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【ニュースイッチ】アルバトロステクノロジー(東京都中央区)「倒れても構わない」風車、実現への道のり

ディープテックは、将来的に世界を大きく変える可能性を秘めた科学技術のことを指します。
「可能性に満ちた深い(ディープ)ところに眠っている技術」と、「社会に深く根ざした問題(ディープイシュー)を解決できる技術」という2つの意味があります。
今回は、アルバトロステクノロジー(東京都中央区)の秋元博路社長は、研究する風車について「倒れても構わない」と説明する。“起き上がりこぼし”のような風車について、という記事です。


【ニュースイッチ】【ディープテックを追え】

2022年02月17日

沖合に並ぶ洋上風力発電設備。海風を生かし、発電できるグリーンエネルギーとして注目される。これまで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は設備を海底に固定する着床式の実証を行ってきた。ただ日本には設備を固定できるような浅瀬が少なく、近年研究が進むのは浮体式だ。風力発電設備を海の上に浮かし、水深が深いところでも発電を可能にするというものだ。

一風変わった形の風車を研究する企業がある。アルバトロステクノロジー(東京都中央区)の秋元博路社長は、研究する風車について「倒れても構わない」と説明する。“起き上がりこぼし”のような風車について聞いた。

研究が進む浮体式

一般的に研究される浮体式風車は地上で運用されるプロペラ風車を海底に固定せず、索で係留し、浮かせた状態で立てる水平式のものだ。洋上風力発電で先行する欧州でも研究途上の技術だ。日本は領海と排他的経済水域(EEZ)を足した面積が世界6位。設備を浅瀬に固定する着床式よりも浮体式の方が設置できる場所が増える。国も洋上風力で30年に1000万キロワット、40年に3000万キロ~4500万キロワットの導入目標を掲げる。そのためには建造コストを下げ、大規模な施設を構える必要がある。

ただ発電容量を増やそうとすれば必然的に風車のブレードは大きくなる。したがって、それらを支える基礎浮体も大きくなってしまう。これが高コストの課題になっている。秋元社長は「基礎浮体のコストを軽減しないことには洋上風力発電のコストは下げられない」と指摘する。

風車と発電機を一緒に回す

アルバトロステクノロジーが研究するのは低重心の垂直型風車だ。円筒型の浮体と風車を一緒に回転させる。発電機は浮体上部の外側にあり、索で回転を止める。電力を生み出す回転軸自体を浮体にし、海水浮力で支える。また風によって傾斜しても急激な性能低下は起こさないと試算する。約30度まで傾いても性能的には許容されるという。沖合20キロメートルでの設置を想定する。秋元社長は「メンテナンスや設置でも利点がある」と話す。同社の風車は三本のブレードをアームで支える形だ。ブレードを折りたたみ、傘のようにして陸上から海上へ移動する。海上で立たせる際には、バラスト水を注水し立ち上げる。そのままワイヤなどでブレードを展開する。吊り作業などを必要としないため工期を短縮できると見込む。また損傷対応も容易になるという。索と送電ケーブルはそのままに故障箇所を取り外し、設置しなおすことで整備する。

ただ小型の垂直型風車ではコストが割高になるのも事実だ。大型化への道筋をつけなければ、新しい風車の選択肢にはなり得ない。同社も最終的に15メガワット級での大型化を目標にする。世界ではスウェーデンのSeaTwirlなど少数ではあるものの、垂直型風車の検証を行っている。同社も波を発生させた水槽での実験は行っているが、秋元社長は「まずは海上実験を行い、実際の発電効果の実証を行いたい」としている。

この連載では、「ディープテック」と呼ばれる先端テクノロジーの事業化を目指す企業を掲載します。
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COMMENT

小林健人
デジタルメディア局DX編集部
記者

浮体式は風力発電の普及に向けて研究が進んでいます。安全性などを担保しながら、いかに大型化できるかが今後の課題です。同社のアプローチは独特で面白いです。ただ、大型化を目指すうえで技術的な検証や設計コストなどを構想する必要はありそうです。


 

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