様々な意匠を凝らした本殿 中条八幡神社
神辺町中条の谷筋を背にした山裾に中条八幡神社があります。本殿は様々な意匠で装飾されており、木鼻(きばな)には象、手挟(たばさみ)には牡丹(ぼたん)、そして蟇股(かえるまた)にはそれぞれ十二支と龍、獅子、鶯が彫られています。十二支は、建物の対応する方角に合わせて配されます。
また、本殿正面の水引虹梁(こうりょう)には渦巻と若葉が彫られていますが、渦巻が木瓜渦であり、刻線の幅が細く彫り込みも浅く、渦から若葉が少し離れている、若葉の描き方が簡素であることなどから17世紀に建てられたものと考えられます。
中条八幡神社の創祀は、885(仁和元)年と伝わります。中条村、上御領村など周辺八か村の総氏神として広く信仰を集めていましたが、1505(永正2)年に村々の間で争乱があった際に9代目の神主である守屋由秀が現在地に御神体を移して当地の産土神としました。
同年12月に本殿にあたる八尋殿が建立され、元禄12(1699)年に改築されました。本殿は市内でも数少ない檜皮(ひわだ)ぶきで正面に唐破風(からはふ)のある入母屋造の三間社。この社殿の正面からの造りは、慶安元(1648)年水野勝成によって再建された吉備津神社本殿に極めてよく似ています。
古くから備後国の一宮として尊崇を集めていた吉備津神社本殿の姿を写しながら十二支等の装飾を加えて建てられた中条八幡神社は、地域に根付き、今も中条の町を見守っています。
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