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【rcc】まちづくりに「猛暑対策」の視点 暑さに配慮した広場の機能を探る研究 広島・福山駅前広場の再整備/2024年7月23日

【rcc】

2024年7月23日

23日も各地で厳しい暑さとなっています。深刻になる猛暑への対策を「まちづくり」から深掘りします。再整備が予定されている広島県福山市の福山駅前広場に必要な機能を、地元の専門家が「暑さ対策」の面から研究しています。

RCC福山放送局 内田博文 記者

「7月17日午後2時の福山駅前広場です。現在、手元の温度計では気温が38℃近くになっています。日差しはそんなに強くありませんが、たいへん蒸し暑くなっています」

多くの人が行き交う福山駅前広場…。

市民たち
「けっこう暑いなっていうふうには思っているんですけど。噴水とかあったらいいですね、水シャワーじゃないですけど」
「暑さ対策!? ん~ミストとか。マツダスタジアムでやっているミストみたいな」

駅前広場の再整備は、周辺の魅力向上や居心地のよい広場空間を目指して、福山市が検討を進めています。人や車の動線を変え、道路やバス乗降場などの配置を変えていく予定です。

駅前広場の再編では、2つの案が協議されています。案の1つは、南北に道路を縦断させて、広場を東西に分散配置するものです。

もう1つの案は、タクシーやバスの乗降場などの機能を移転させ、全面を広場にするものです。

広場を快適に活用するためには、どんな機能が求められるのでしょうか? 「暑さ対策」に注目してその機能を提案しているのが、福山市立大学で「都市気候」を専門にしている 横山真 准教授です。

今回、別の研究者と共同で夏場の福山駅前広場についてシミュレーションをしました。横山准教授は、過去の気温や風、周囲の建物の高さなどを数値化してスーパーコンピュータで計算しました。

こちらは2021年7月31日に南からの風が駅前広場周辺に吹いた時の風速を示したものです。風速が高くなっているところはオレンジ色、低い場所は青色になっています。シミュレーションでは、天満屋福山店と、道をはさんだアイネスフクヤマの間で強い風が生じていることが分かりました。

横山 准教授

「南から吹いてきた風が天満屋の壁に当たって、下に降りてくるような吹き下ろしが発生している。これが方向としては、そのまま駅前広場の方向へ進んでいくような向きになっている」

この風によって気温も下がってきます。

横山 准教授
「吹き下ろしの風が数値シミュレーションで見られていたのが、この場所だが、この場所の色が青色になっているので結果としては涼しい」

一方、駅前広場は、気温が高くなっています。横山准教授は手法の限界もあるとしますが、バス停などさえぎるものが風速を弱くさせていることや、日なたであることを理由に上げます。

これらの結果を基に福山市の駅前再整備案はどうでしょうか。市は芝生や緑地に関する方針は示していませんが、過去にこのようなイラストを作成しています。

こちらを参考に全面広場案を芝生にしてみて、暑さ指数を示したものです。

現在の路面状態と比べ暑さ指数が下がっている場所は青色で表現されています。薄い青より濃い青の方が下がり幅は大きいのですが、薄い青色は芝生だけの場所。濃い青色は芝生に樹木を置いています。

このことから、芝生化だけでは暑さ指数を大きく下げることはできないと横山准教授は指摘します。

これらの研究を基に駅前広場に求められる機能を駅前で確認してみました。福山駅前広場の北側です。建物による日陰が少なく、強い風も吹かない特徴があります。

横山 准教授

「積極的に日陰を造っていく人工的な日よけであったり、樹木ですね。日よけをつくっていくことが必要なのかな」

横山准教授は、日陰を生かしてランチやマルシェでの活用を提案します。

福山駅前に2024年3月末に完成した「ニューキャスパ」の前は、建物の高さから生まれる影を生かして、ベンチを設けた滞留時間の延長が求められるということです。

駅前広場の南側は吹き下ろしの風が流入しやすい位置にあります。

横山 准教授

「噴水のような水景施設を設置することで、涼しい風が流れていくのではないか」

日陰になる時間が短い場所でもあることから、南からの風通しをさえぎらない日よけや樹木を設置していく必要があるといいます。

横山 准教授
「人工的な日よけをつくる場合は屋根面の温度が、上がらないような日よけだったり、そういう工夫っていうのが、より快適な日陰をつくるには必要」

駅前広場の整備を担う福山市は、2024年9月から10月にかけてタクシー待機場やバス乗り場の一部を広場化する実証実験を行います。さらに、その実験を担う事業者が7月下旬に決まることになっています。

福山市 福山駅周辺再生推進課 野田真和 課長
「(実験では)将来の広場にどういった、設備であるとか、あるは環境面の配慮というものが、必要なのかというところも今後の検討にいかしていきたい」

目の前に起きるさまざまな環境の変化も駅前広場を考える糧であると、横山准教授の研究は示しているのかもしれません。


 

 

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