「世界的な物価(国際価格)の上昇」と「円安(実効為替レート)」によって、電気というエネルギーに変換するための原油、天然ガスをはじめ、食糧、肥料、化学原材料、衣料品など身の回りのありとあらゆる物資、そして生活必需品に関わる世界の実物経済に大きな変化が出始めています。
NHKの記事から見えることは、「長期金利の上昇を抑える=(国債価格の下落を食い止める)」ことですが、「仮」に“円高にするため”に金利上昇を容認するということになれば、国債価格(日本の金融機関が多く保有している)が下落することによって、金融機関の財務状態が悪化し経営不安が起きる可能性があるのではないか?ということを指しています。
事実、1998年冬には、日本の長期金利上昇が一部で〝問題になった(騒ぎになった)〟ことがあったようです。
巨額の財政赤字などから、日本では国債暴落、利回り暴騰への懸念がある?という前提のもとに行われた、今回の日本銀行の3日間「連続指値オペ」は、日本の金利が上昇することによる“為替変動”という結果に対しても、強く警戒しているということがわかります。
(日本の“円”は、基軸通貨“ドル”と互いに密接な関係にあると考えられますが、このことと、世界的な物価上昇の背景については、ここではこれ以上触れません。)
金融政策だけでない、本質的な「日本の成長力」が背景として裏づけされることこそが「真の国富」につながると考えます。
2022年度(令和4年度)に移行する節目、世界の構図が大きく変化していくなかにおいて、日本全体と備後圏域の将来のビジョンを見据えながら、福山市議会議員としての職務に邁進してまいります。
2022(令和4)年4月1日(4月12日一部修正)
岡崎 正淳
【NHK】指値オペって、なに? なぜ円安に?
指値オペって、なに? なぜ円安に?
日銀は長期金利の上昇を抑えようと、3月29日から3日間「連続指値オペ」と呼ばれる措置に踏み切りました。これに反応して円相場が急落し、およそ6年7か月ぶりに1ドル=125円台まで値下がりしました。
そもそも「指値オペ」って、なに? どうして円安が加速したの?(経済部記者 加藤ニール)
日銀が「指値オペ」に踏み切ったと、ニュースで見ました。
そもそも「指値オペ」って、なんですか?
加藤記者
日銀は、国債や社債などの売買を通して、日々、金融市場のお金の流れを調整する公開市場操作=オペレーションを行っています。
日銀や市場関係者は略して「オペ」と言っています。
「指値オペ」は、日銀が利回りを指定して(=指値)、国債を無制限に買い入れる措置です。
通常の国債買い入れオペでは、買い入れ金額を例えば4250億円などと明示して実施しますが、指値オペは金額に制限をつけず買い入れるもので、特別かつ強力な措置と言えます。
普段から通常のオペで国債を買っているのに、どうして特別なオペが必要なんですか?
加藤記者
指値オペには、長期金利の上昇をブロックする効果が期待できるからです。
国債と金利は「国債が売られると金利が上がり」、「国債が買われると金利が下がる」という関係にあります。
国債を売買する債券市場では、アメリカが金融引き締めに転じて利上げに積極的な姿勢を打ち出した影響で、このところ日本の国債が売られる動きが強まり、長期金利が上昇傾向にあります。
一方で、日銀は長期金利の上昇を抑えたい立場です。
今の金融緩和策の一環で、長期金利(=10年もの国債の利回り)を0%程度にするとしていて、具体的にはその変動幅を「±0.25%程度」にするとしています。
ところが長期金利が上昇を続け、この変動幅の上限に近づいたため、指値オペを実施することを決めたのです。
今回指定した利回りは「0.25%」。
指値オペを実施すれば、仮にどんなに国債を売る動きが強まったとしても、日銀がすべて利回り0.25%で買い取ることになるため、事実上長期金利を0.25%に固定し、それ以上に上昇するのをブロックできるというわけです。
「連続指値オペ」ということばも、ニュースで見ました。どう違うのですか?
加藤記者
指値オペは1日のみですが、「連続指値オペ」は一定の期間に指値オペを繰り返し実施するもので、長期金利の上昇をより強く抑え込む効果が期待できます。
今回は、3月29日から31日まで3日間にわたる連続指値オペに踏み切りました。
2021年3月に導入された新しい措置で、今回が初めての実施となりました。
日銀の指値オペがきっかけとなって円安が進んだと聞きました。どうしてですか?
加藤記者
一連の指値オペで、日銀が長期金利の上昇を抑え込み、金融緩和を継続することが鮮明になったからです。
利上げに積極姿勢を示すアメリカとは対照的で、日米の金利差が拡大することが強く意識されたことで、円を売って、より利回りが見込めるドルを買う動きが強まりました。
特に3月28日は、指値オペの実施が公表されるたびに大きく円安方向に動いた結果、1ドル=125円台まで値上がりし、6年7か月ぶりの円安水準となりました。
確かに長期金利の上昇をブロックできるかもしれませんが、国債を無制限に買い入れる措置だけに、ずっと続けることは難しいのでは?
加藤記者
すでに日銀は、発行されている国債1220兆円のうち、4割にあたる530兆円を保有しています。
ただし、長期金利上昇を抑えるために日銀が過剰に国債を買い続ければ、市場の金利調節機能が妨げられるのではないかという指摘もあります。
また、アメリカは今後利上げを加速していくと見られ、長期金利の上昇圧力もさらに強まる可能性があり、指値オペで金利上昇を抑え続ければ、円安がさらに進むという見方も出ています。
日銀は「円安は日本経済全体にとってプラスだ」という立場ですが、エネルギーなど原材料価格が高騰しているため、輸入物価の値上がりにつながり、家計や企業のデメリットも大きいという懸念も出ています。
しかし、賃上げなど経済の好循環が実現するまで金融緩和を継続するとしているだけに、円安回避のため利上げなどに転じる環境ではなく、日銀としても難しいかじ取りを迫られています。
【NHK】指値オペって、なに? なぜ円安に?
日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?
教えて!にちぎんQ&A
教えて!にちぎん
回答日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。
これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。
ただし、日本銀行では、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、財政法第5条ただし書きの規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。こうした国による借換えのための国債の引受けは、予め年度ごとに政策委員会の決定を経て行っています。
- 財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
【共同通信】
2022.11.28
日銀が28日発表した2022年9月中間決算で、保有国債の時価評価が簿価を下回り、8749億円の含み損が発生した。含み損が出るのは黒田東彦総裁が13年に総裁に就いて以降で初めて。米長期金利につられて日本の長期金利に上昇圧力がかかり、国債の価格が下落したため。
日銀は本決算と中間決算の公表時に保有国債の簿価と時価を公表している。22年9月末時点で簿価は545兆5211億円、時価は544兆6462億円だった。
長期金利は日銀が上限と定める「0.25%程度」近辺で推移していた。日銀は上限を超えないよう国債を無制限に買い入れている。
【プレジデント】
2022/10/28
すべてはアメリカの思惑次第…どれだけ円安が進んでも日銀が異次元金融緩和をやめられないワケ
日銀総裁が交代しても金融緩和は終わらない
頑として動かない黒田総裁にいら立っている
日本銀行は10月27、28日に金融政策決定会合を開いた。円安が急伸する中、金融緩和政策の転換が問われているが、結果は「望み薄」というのが市場の共通した見方だ。黒田東彦総裁が頑として政策転換を認めないためだ。円安対策については「金融政策は為替相場を直接のターゲットにしない」と国会等で言明し、「緩和継続で景気回復を支える」と自説を曲げない。
頑として動かない黒田総裁に内心いら立っている岸田政権は為替介入で円安に立ち向かっているが、それも限界がある。なにより「円安に伴う物価高を抑えるという政治的な要請から為替介入に踏み切ったが、円安を促進する金融緩和を続ける一方で、円買い介入することは矛盾する政策。市場からみれば政府と日銀は政策不一致とみられてもおかしくない」(財務省関係者)ためだ。
加えて、米国の金融当局は介入しない、日本の単独介入だ。「効果は一時的かつ限定的とならざるを得ない」(同)。事実、円は乱高下を繰り返しており、企業は為替対応に奔走しなければならない。金融関係者からは「岸田文雄首相は黒田総裁になめられている」と怨嗟の声が漏れ始めている。
いまや日本は世界の金融のアンカー役
なぜ、ここまで黒田総裁は金融緩和に固執するのか。そこには米国の金融マフィアの思惑が垣間見える。インフレ抑制から大幅な金利の引き上げを急ぐ米国に日本が同調して緩和を解除すれば、世界のマネー供給量は大幅に低下し、市場がクラッシュしかねない。いまや日本は世界の金融のアンカー役になっているようなものだ。
だから米国は日本の為替介入に理解は示すものの、協調介入する考えはない。そうした米国の意向を示す象徴的なシグナルが10月10日に発せられた。今年のノーベル経済学賞の受賞者の面々だ。
2022年のノーベル経済学賞に元FRB議長のベン・バーナンキ氏ら3人の米経済学者の授与が決まった。金融危機時の銀行の役割を解明したことが理由だ。
この受賞に対し市場関係者は、「そもそもノーベル経済学賞はスウェーデン国立銀行がノーベル財団に働きかけて創設された賞で、他のノーベル賞と異なり政治色が濃いと言われています。受賞者の大半は米国の新自由主義経済学者で占められており、今回の受賞もその流れに沿うもの」と指摘する。そして、「今回のバーナンキ氏の受賞を最も喜んでいるのは任期満了を来年4月に控えた日銀の黒田東彦総裁だろう」とも指摘する。