【中国新聞】
2023/04/18
広島県福山市のJR福山駅周辺の路上喫煙を禁止する市の条例が昨年4月に施行されて1年がたった。市は喫煙禁止の路面標示やパトロールを通じて周知しているが、吸い殻のぽい捨てはなお目立つ。条例の効果を上げるため、市は路面標示を増設。4、5月を路上喫煙防止の重点期間として啓発などを強めている。
今月上旬の昼下がり。禁止区域内に市が設置した2カ所の喫煙所には愛煙家が集まっていた。その場を離れると、歩きたばこや建物の壁に寄りかかって喫煙する姿が散見された。駅舎そばで吸っていた50代男性は岡山市から仕事で来たといい「禁止区域であることも、喫煙所がどこにあるかも分からなかった」と話した。
市は月1回、禁止区域でパトロールと清掃を兼ねて吸い殻の数を調べてきた。昨年4月から今年3月までに拾った吸い殻は月平均2337本。前年同期の2493本と比べ6・2%減にとどまった。市廃棄物対策課は「条例を周知しているが、なお浸透に課題がある」とする。
条例の浸透が不十分な実態は、2月に市が市政モニター745人に実施したアンケート(回答率53・4%)でも浮かぶ。回答者の7割近くが条例改正を知らなかったと答え、必要と思う取り組みとしては「マナー向上の情報発信」や「条例の周知」が目立った。
これらを踏まえ、市は3月、路面標示を24カ所から倍の48カ所に増やした。追加分はA4判からA3判に拡大し、目立つようにした。今後は喫煙所の案内図を載せた看板も新設する。
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