【ウェザーニュース】
2023/05/29
子どもの交通事故は、5月~7月にかけて多く、5月〜6月が最多となります。
なぜ、初夏のこの時期に子どもの事故が増えるのでしょうか。警視庁の「子どもの交通人身事故発生状況(令和4年中)」等のデータをもとに、交通事故の発生状況を読み解き、子どもを守るために保護者が心がけることを考えてみましょう。
子どもの交通事故は初夏に多い?
都内における子どもの交通人身事故の月別発生状況は、5月が155件、6月が168件、7月が153件で、子どもの交通事故は初夏に多いといえます。
子どもの交通事故とは、幼児、小学生、中学生が関係した事故のことをいいますが、内訳は小学生が60.4%、中学生が28.4%、幼児が13.2%で、小学生が圧倒的に多くなっています。
交通事故に遭いやすい年齢は?
また、交通事故総合分析センターが発表した「交通事故分析レポートNo.116」によれば、歩行者の交通事故死傷者数で最も多い年齢層は5歳~9歳の子どもで、特に7歳が最多です。この年齢のお子さんをもつ保護者の方は特に注意する必要があります。
7歳児といえば、小学1年生~2年生に該当します。入学前は幼稚園や保育園へ園のバスで送り迎えや、親が付き添っての通園などがありましたが、小学生になると単独で登下校するようになります。
交通ルールを十分に理解していないうえに、通学に次第に慣れてきて少し油断が生じてくるのが5月~7月頃と考えられます。
下校時の時間帯が危ない!
時間帯別発生状況を見てみると、16時~18時が465件と最も多く発生しています。
下校時は、学校から家に帰れる解放感で気がゆるみがち。入学から少し時間が経ち、仲良くなった友だちと会話がはずんで、ふざけあって注意が散漫になることも一因として考えられます。
また、男子は女子に比べると、外で遊ぶ機会が多く、行動範囲も広い傾向があり、男女別発生件数では、男子が女子の約2倍になっています。
子どもは大人より視野が狭い
JAFが行ったユーザーテストでは、子どもの視野角は大人の70%ほどで、特に左側から来た車に気づきにくいという結果が出ています。大人だと少し首を振るだけで車の距離が確認できるのに、子どもだと車が視野に入りにくいのです。
また、小学1年生の平均身長は115cmほどです。この高さだと、子どもが車の横を歩いていたらドアミラーでとらえにくく、ドライバーは確認できない場合があります。
このような状況を認識したうえで、子どもを交通事故から守るにはどうしたら良いのでしょうか。
横断歩道でも油断はできない
事故の類別発生状況を見てみると、横断中その他の事故が27.7%。横断歩道の事故が23%もあり、合わせて半数を占めています。横断歩道のない場所では道を渡らないのが鉄則ですが、横断歩道があっても油断はできません。
警視庁交通部では、横断歩道での注意点として次の3つを挙げています。
(1)車が来ていないか、チェック
(2)車が止まったか、チェック
(3)横断中も車が来ないか、チェック
また、横断中は「手をあげる」などのアクションを付け加えることも有効です。
親が交通安全の手本になる行動を
さらに、保護者の皆さんへのお願いとして、警視庁交通部は子どもの交通事故を防ぐため次のように注意を呼びかけています。
▼子どもから目を離さず、飛び出しをさせないように目を配る
▼歩道を歩くときは、車道からできるだけ離れた建物寄りを歩く
▼交差点で信号待ちをするときは、ガードレールなどの防護物がある場所を選び、その後ろで待つ
親がお手本になるような行動をみせ、それをお子さんが真似をするという、日々の積み重ねが大切です。一緒に過ごす時間の中で、お子さんの交通安全意識をはぐくんでいきましょう。