GAFAの黄金時代は終焉を迎えつつある

最近、“GAFA”は人員削減などリストラ策を強化している。今後の情勢次第では、リストラ策はさらに強化されるとの見方もある。昨年1年間で、大手プラットフォーマーと呼ばれる企業の株価は大きく下落しており、リーマンショック後の世界経済の成長を支えたGAFAの時代は終焉しゅうえんを迎えつつあるとみられる。その背景には、これらの企業のビジネスモデルに成長の限界が見え始めていることに加えて、米国の利上げや競争激化などいくつかの要因がある。

やや長期的な視点で考えると、これからも世界のIT先端業界は大きく変化する。“ウェブ2.0”から“ウェブ3.0”へのシフトは徐々に鮮明となり、“メタバース”など新たなデジタル技術の実装も進むだろう。中でも重要なポイントは、常に人々がネット空間に接続し、現実とバーチャルの世界が同時進行する可能性が高まることだ。それは、わたしたちの生き方を大きく変える可能性を秘めている。その可能性を現実のものとするには、新しいIT関連製品の創出とヒットは欠かせない。

新たな仮想現実(VR)端末を発表する米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)[ユーチューブで公開した動画より]

写真=時事通信フォト
2022年10月、新たな仮想現実(VR)端末を発表する米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)[ユーチューブで公開した動画より]

サブスク、シェアリング、広告分野も頭打ちに

2022年以降、GAFA各社の業績悪化は鮮明になっている。直近の決算内容を確認すると、各社の収益増加ペースは一段と鈍化している。それは世界経済にとって大きな意味を持つ。リーマンショック後、世界全体で“iPhone”などのスマートフォンが普及し、人々の生活は大きく変わった。買い物など多くの経済活動はネット空間に取り込まれた。アマゾンなどのプラットフォーマーの成長は加速した。

それによって、個々人の消費行動や好みなどに関する“ビッグデータ”が収集され、活用されるようになった。当初、GAFAなどは極めて低コストでデータを獲得し、それを用いてより多くの需要を生み出した。サブスクリプション(サブスク、継続課金制度)やシェアリングなどのビジネスも急速に普及し、収益力は一段と高まった。オンライン広告ビジネスの分野ではアルファベット傘下のグーグルやメタの収益力が急速に高まった。

しかし、需要の鈍化と世界的な物価上昇などを背景に、GAFAが高い成長を実現することは難しくなっている。特に、SNS依存度の高いメタの業績悪化は深刻だ。フェイスブックがメタに社名を変更したのは、ある種の“まぶし”にも見える。