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【毎日新聞】教員の処遇改善、5項目の論点整理 文科省有識者会議 給特法など/2023/4/13

【毎日新聞】

2023/4/13

長時間労働が問題化している教員の処遇改善策を議論する文部科学省の有識者会議(座長=貞広斎子・千葉大教授)は13日、公立学校教員に原則、残業代を支払わないとする教職員給与特別措置法(給特法)の見直しや、職務に応じた手当の創設などを含む「論点整理」を取りまとめた。

文科省は、論点整理をたたき台に、今春に公表される教員の勤務実態調査(2022年度実施)の結果を踏まえながら、中央教育審議会で給与制度改定についての議論を進める方針だ。

1971年に制定された給特法は、66年当時の教員の平均残業時間が月約8時間だったことを基に、公立校の教員に月給の4%を「教職調整額」として支給する代わりに原則、残業代を支払わないとしている。教員の仕事はプライベートとの線引きが難しく、勤務管理が難しいとの考え方に基づいており、校外実習、学校行事、職員会議、災害対応の4項目以外の残業は自発的行為と位置づけている。

「定額働かせ放題」の温床、批判

だが、文科省が前回16年度に実施した勤務実態調査では、公立校教員の月平均の残業時間が小学校で59時間、中学校で81時間に及び、給特法の制定当初とは勤務環境が変化している実態が明らかになった。

教員の処遇改善に向けて示された論点
教員の処遇改善に向けて示された論点

給特法は、教員の長時間労働を招いているとの指摘も多く、「定額働かせ放題」の温床とも批判される。近年は学生が多忙な教職を避けるなどして、公立校教員の採用倍率が低下。質の高い教員の確保が課題になり、研究者や校長、教育長ら9人でつくる有識者会議が昨年12月から議論を重ねてきた。

有識者会議は、論点について①給与②勤務制度③学校の働き方改革④学級編成や教職員配置⑤支援スタッフの配置――の5項目で整理。具体的には、教職調整額の引き上げ▽給特法制定当時の想定を大きく超える残業時間の実態▽学級担任やICT(情報通信技術)担当など職務に応じた手当の創設――などを示した。

13日の有識者会議で貞広座長は「給与や教員定数の改善、働き方改革などを一体的に進め、教員の働きがいと働きやすさを両立することが必要だ」と述べた。

4回にわたる有識者会議では、教職調整額が実態に合わないと複数の委員が指摘し、給与面の改善の必要性は大筋で一致した。一方、一般の公務員や私立校教員などと同様に残業代を支給する制度に変えた場合は「仕事を効率的に終わらせる教員の方が手当が少なく不公平」「(勤務を把握する)管理職の負担が増える」といった指摘も相次いだ。給特法の廃止には慎重な意見が目立ち、職種による負荷に応じ、メリハリをつけた手当の創設などが論点整理に盛り込まれた形だ。

ただ、給与面の改善にとどまると「今の教員の勤務実態の容認につながり得る」との懸念もあり、登校指導など教員が担うべきではない業務を減らす「働き方改革」や、小学校で導入された35人学級を中学校にも拡大し、教員の負担を軽くするよう求める意見もあった。

教員の処遇改善を巡っては、岸田文雄首相が今年2月、6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」で、教員の処遇見直しの方向性を示すと明言している。【深津誠】


 

 

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