【まいどなニュース】
023.08.06
異例の猛暑が続いた2023年7月。8月も厳しい暑さが続くことが予想され、厳重な熱中症対策が必要だ。
熱中症対策として知られるのが、こまめな「水分」の摂取。しかし、実は熱中症で救急搬送される人の大半は「水分」をしっかり摂取しているのだという。そんな衝撃の事実をX(旧:Twitter)に投稿したのは、筋肉博士 Takafumi Osakaさん(@muscle_penguin_) 。糖尿病内科医で、運動療法の専門家でもあるOsakaさんによると、熱中症対策には「水分摂取」と同様に、重要なことがあるという。
「水分摂取」していても「体が冷えない」と熱中症に
「水分摂取しても体が冷えないと熱中症になります。水分摂取が有効なのは脱水症です。ぜひ、身体も冷やしてくださいね!ちなみに熱中症で救急車で運ばれてくる人、だいたい、水分はめっちゃ飲んでますよ! 」
筋肉博士 Takafumi Osakaさんの投稿に、リプ欄には多くの驚きと納得の声が殺到。さらに、Osakaさんは、自身の熱中症体験も投稿。
「昔、エアコンのガンガン効いた車の中で熱中症になったことがある。運動した後、暑い車内に入ってそのまま冷房MAX。運転して帰る途中からどんどん気分が悪くなり、帰り着いて嘔吐。冷たい風が体の表面に当たる→表面の血管だけ冷える→身体の中は熱いまま→熱中症。暑い車内は冷やして乗って!」
こまめな水分摂取と同時に、適切に「体を冷やすこと」が鍵を握る「熱中症対策」について、筋肉博士 Takafumi Osakaさんにお話を聞いた。
脱水症(水分不足)は熱中症の症状の一部
ーー熱中症で救急搬送された方の多くが十分に「水分摂取」をしていた、とは驚きでした。
「『熱中症診療ガイドライン2015』によると、熱中症とは『暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称』と言われています。わかりやすく言うと、『体が熱くなることで起きる体調不良のすべて』です」
ーー脱水症とは異なるのですか?
「脱水症(水分不足)は熱中症の一部の症状です。体が熱くなり、汗をかくことで体から水分が失われ、脱水症になります。極端な話をすると、汗が出なければ脱水症にはなりません。でも汗が出ないなんてことはあり得ないので、重度の熱中症にはほぼ脱水症が合併します。また、体が熱くなくても、例えば急性腸炎で下痢をしていたら脱水症になります。
実際、ひどい熱中症の場合、脱水症が合併していることがほとんどです。脱水症では舌や脇の下の乾燥、尿量の低下などがあります。対して、熱中症特有の症状には、けいれんや意識障害などがあります」
もしも熱中症になったら…「体を冷やしつつ病院へ」
ーー昔は「冷たいものは体を冷やすからNG」として、「夏でも熱いお茶を」「水は常温で」と言われていました。地球沸騰化の現代では、この考えは改めた方が良いですか?
「難しいですねぇ…。この場合の、『冷たいものは体を冷やすからNG』というのは、胃や腸のお話だと思います。もし熱中症対策で冷たい飲み物を飲みたくてもお腹を下すようであれば、飲むのではなく、冷たい水を体にかけた方が良さそうです」
ーーOsaka先生おすすめの熱中症対策はありますか?
「体を冷やすことに加えて、まずはできるだけ暑い環境に行かないこと、ですね。どうしても行かないといけないのであれば、定期的に休憩を取ることです。また、通気性が良く、体が冷えやすい服を着る。さらに、環境省が発表する『熱中症アラート』を参考に、スポーツなどは中止を検討してみる。そして、体調が悪い時には無理をしない。もし熱中症になってしまったら、とにかく体を冷やしつつ、病院へ!」