行動経済学では、ちょっとしたきっかけを与えて人々の行動を変える方法を「ナッジ」と呼んでいる。青森大学客員教授の竹林正樹さんは「飲食店のトイレに貼ってある『きれいに使ってくれてありがとう』という張り紙もナッジのひとつだ。青森県の寿司屋では、別の注意書きを張ったところ、トイレを汚す人が減った」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、竹林正樹『心のゾウを動かす方法』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

トイレのサイン

写真=iStock.com/niuniu
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整理整頓したがらない人をどう変えるか

整理整頓は、「大切なのはわかっていてもなかなか実践できない行動」の代表格です。

散らかった状態が続くと、「多少ごちゃごちゃしたくらいがちょうどいい」「手が空いた時にまとめて掃除するので、今はやらなくてもいいか」といった習性が働き、掃除するのがどんどん面倒になります。そうなる前にナッジを使った散らからない方法を提案します。

1)靴をそろえるには:線を引く

私は小さい頃から玄関では靴を脱ぎっぱなしにしていて、よく親に注意されていました。でも、ナッジを使ったところ、靴を脱ぎ散らかす悪い癖が改善できました。

ナッジ● 靴の幅に合わせてテープで線を引いた(図版1)結果、靴をそろえるようになりました。疲れて帰ってきた時でも、わかりやすい線があることで、私の象は線に合わせて靴を整列させたくなりました(規範ナッジ)。
図版1:玄関のテープ

図版1:玄関のテープ(出所=『心のゾウを動かす方法』)

さらに私が靴をそろえていると、他の人もそろえるようになり(同調ナッジ)、家族内で靴の整頓に関する不満がなくなりました。