【uccino】
2024/02
住宅を所有していると、毎年必ず固定資産税が発生します。毎年のことですから、できれば固定資産税を安く抑えたいと誰もが考えるはずです。
もしこれから新築のマイホームを建てる予定があるなら、固定資産税がアップする設備機器について、ぜひ知っておいてください。今回紹介する設備機器を使用しなければ、固定資産税算出の基準となる「課税標準額」の評価を大幅に下げられるかもしれません。
1. 固定資産税とは
固定資産税は、土地や建物などの不動産に課せられる地方税です。納税された固定資産税は、私たちの住む市区町村の道路や公共施設の建設、他には教育・医療・福祉といった公共サービスの原資に用いられます。
納税義務者は、毎年1月1日時点で対象財産を所有している人です。納税通知書は5月頃に発送されるケースが多く、支払回数は一括もしくは年4回の分割納付のどちらかを選択できます。
なお、定められた期限までに納付しないと、延滞金が発生します。延滞期間が1か月を超えると、延滞利率は2.4%から8.7%に急上昇するので、注意してください。
固定資産税の計算方法
固定資産税額は、以下の式で算出します。
- 固定資産税額 = 課税標準(固定資産税評価額) × 税率1.4%
なお、新築住宅の場合、一定の要件を満たせば、土地・建物両方に軽減措置が適用されます。
種別 | 適用要件 | 軽減率 | 適用期間 |
---|---|---|---|
一般住宅 | ・床面積:50m2以上280m2以下 ・減額の範囲:120m2まで ・併用住宅は居住部分の床面積が1/2以上 |
1/2 | 新築から3年間 |
長期優良住宅 | ・床面積:50m2以上280m2以下 ・減額の範囲:120m2まで ・併用住宅は居住部分の床面積が1/2以上 |
1/2 | 新築から5年間 |
小規模住宅用地(土地) | 200m2以下の部分 | 1/6 | 期限なし |
一般住宅用地(土地) | 200m2を超える部分(住宅床面積の10倍まで) | 1/3 | 期限なし |
課税対象
固定資産税の課税対象となるのは、土地・建物・償却資産です。以下に具体的な課税対象例をまとめておきます。
固定資産の種類 | 対象物例 |
---|---|
土地 | 田、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地など |
家屋 | 住宅、店舗、工場、倉庫など |
償却資産 | フェンスのような会社の構築物、パソコンや工具といった備品など |
参考:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) 都税Q&A | 東京都主税局
もちろん、上表はあくまでも一例であり、対象となる資産は、他にも数多くあります。詳細を確認したい人は、上記リンクからご確認ください。
家屋調査のポイント
通常、新築の住宅が完成すると、翌年に市税関係の担当者が訪問して、建物の内部と外部を調査します。市区町村は、この家屋調査で得た住宅の資産評価をもとに、税額を決定するわけです。
具体的な調査としては、建築確認申請書や工事見積書といった書類上の情報と、実際の面積・間取り・使用建材・設備機器のグレードや数量などを照らし合わせていきます。
耐久性や防火性といった品質を左右する建材については入念に確認しますし、洗面台やキッチンなどのグレードについてもしっかりとチェックします。
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2. 固定資産税が高くなる設備一覧:戸建て
家屋の価値は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に記載された点数をもとに、計算します。単純な話、グレードの高い豪華な設備は点数が高く、豪華な設備が多ければ多いほど、固定資産税評価額は高くなっていきます。
今回紹介する設備の固定資産税額を知りたい場合は、点数に税率1.4%をかければOKです。まずは、戸建てにおける高点数な設備について見ていきましょう。
ホームエレベーター
ホームエレベーターは、今回紹介する設備のなかでも、「1,788,000点」とダントツに点数が高いです。高齢者や身体の不自由な人々の生活を大きく支援し、家屋の価値を上げる分だけ、固定資産税の課税評価額としても高く評価されます。
あくまでも概算ですが、ホームエレベーターを設置すると、2.5万円ほど固定資産税がアップします。最初から、1階で生活が完結するようにプランを立てれば、わざわざホームエレベーターを設置しなくても十分生活は可能です。
システムキッチン
システムキッチンも、固定資産税を押し上げる要因のひとつです。システムキッチンの評価点数は297,800点なので、固定資産税額は4,169円になります。
もし、キッチンのランクを落として、ステンレス張りの流し台を選べば48,200点、税額はわずか674円しかかかりません。
もちろん、いくら税額が1/6になるといっても、生活の満足度を極端に落としてしまえば、せっかくの新築ライフが台無しです。このあたりは、個人の価値観にもよるので、後悔のないようにじっくりと比較検討してください。
開閉式天窓
「お陽さまの光を浴びて、明るく健康的な部屋で生活したい」という人にとって、天窓は欠かせない設備でしょう。しかし、開閉式の天窓は102,900点と評価点数も高いです。
天窓は必要だけど税額は抑えたいというなら、59,460点の固定式天窓という方法もあります。とはいえ、税額の差はせいぜい数百円です。
新鮮な外気の取り入れが可能という点を考えると、わざわざ固定式を選ぶメリットはそれほど大きくないといえます。
タイル・漆喰の外壁
外壁材によっても、固定資産税額は結構な差が見受けられます。外壁材のなかで10,000点を超えているのは、タイル(11,890点)と漆喰(11,640点)のふたつです。
一方、外壁材でもっともポピュラーなサイディングは、7,530点になります。タイルとサイディングの差は、m2あたり61円です。
もし40坪(132m2)の住宅の外壁をタイルで仕上げるとしたら、年額およそ8,000円固定資産税がアップすることになります。
急勾配の屋根
屋根は、使用材とさらに勾配によって、評価点数が変わります。代表的な勾配をピックアップして、勾配による固定資産税額の違いを見てみましょう。
- 緩やかな勾配(1.5/10程度):補正係数0.85
- 急な勾配(9/10程度):補正係数1.20
たとえば、化粧スレートボード13,750点を建床面積66m2で計算した場合、緩やかな勾配は10,800円です。急な勾配は15,200円なので、差額はおよそ5,000円になります。つまり、補正係数によって、勾配がきつくなるほど固定資産税が高くなるわけです。
その他
その他の固定資産税が高くなる設備を紹介します。
- 床暖房(14,260点)を10m2設置したら、固定資産税は約2,000円
- 天井埋め込みエアコン(8,430点)を各部屋30畳分で計算すると、固定資産税約5,700円
- 屋根一体型太陽光発電(20,470点)建床面積66m2で計算すると、固定資産税は約18,900円
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3. 固定資産税が高くなる設備一覧:マンション
マンションの場合は、共用部の固定資産税を持分で割るので、個人へ負担がダイレクトにかかるわけではありません。ただ、共用部の設備だけに加点が大きいので、マンション選びの際に、一応頭の片隅に入れておくと役立つはずです。
高速特性型のエレベーター
タワーマンションくらい高層の建物になると、通常のエレベーターではスピードが物足りないかもしれません。入居者はある程度裕福なかたが多いので、ほとんどの高層マンションでは、高速型のエレベーターを設置しているはずです。
ただ、評価点数を比べると、高速型は規格型の5倍以上高く評価されています。
- 高速型1台あたり:29,945,960点(約419,000円)
- 規格型1台あたり:5,646,950点(約79,000円)
エレベーターの種類で入居を決めることはほとんどないはずですが、利便性と引き換えにより大きな支出を負担している事実は知っておいて損はありません。
免震装置
1基あたり3,430,300点加算されるので、免震装置が固定資産税額を押し上げているのは間違いないでしょう。しかし、大型地震の被害が定期的に発生する日本において、免震構造のマンションは非常に力強い味方になってくれるはずです。
固定資産税額はあくまでも参考にとどめ、安全性を一番に住居選びをしてください。
スライディングウォール
スライディングウォールとは、ようするに可動式間仕切りです。天井のレールに吊り下げられた可動式の間仕切りは、空間を自由にアレンジしてくれます。普段は開放的な空間を楽しみ、必要になれば狭い空間をつくり、プライベートを守ることができます。
非常に便利な分、最上級グレードで1m2あたり148,140点と、なかなかの高得点が配分されています。しかし、もっとも低いグレードなら、最上級の1/10の評価点です。固定資産税を節約したい場合は、ダウングレードを検討してみてください。
4. 固定資産税を抑えるための工夫
最後に、固定資産税を抑えるための工夫を3点ご紹介します。ピンとくるものがあれば、ぜひ取り組んでみてください。
長期優良住宅の認定を受ける
これから住宅を建てるなら、できるだけ長期優良住宅を狙っていきましょう。長期優良住宅の認定を受けると、前述の通り、固定資産税における1/2軽減措置の適用期間が、3年から5年に伸びます。(マンションの場合は7年間)
固定資産税の削減という意味では、これは非常に大きなメリットでしょう。また、固定資産税以外にも、長期優良住宅にはさまざまなメリットがあります。
- 住宅ローン減税の上限が5,000万円に引き上げ
- 不動産取得税の控除額が1,300万円にアップ
- 登録免許税の税率が引き下げ
- 地震保険の割引率が30%に引き上げ
なによりも、長期優良住宅を選ぶことで、居住性や省エネ性に優れた快適な住環境が手に入ります。政府の方針を見ても、これからますます長期優良住宅が優遇されるのは間違いありません。ぜひ、しっかりと検討してみてください。
土地が広い場合は分筆を検討する
もし広い土地を持て余しているなら、思い切って分筆するのも悪くない方法です。分筆をすれば、住居の敷地を残して、必要のない更地だけを売却できます。
また、基幹道路に面している奥に長い土地の場合、奥の土地を旗竿地にして土地の評価額をわざと下げる方法も考えられます。
自宅は基幹道路に面しているので、評価は高いままです。一方、旗竿地になった土地の価値は下がるので、当然固定資産税も下がります。
評価を下げることに対して抵抗を感じるかもしれませんが、プライバシーが確保できてかえって嬉しいという人も少なからずいます。倉庫や駐車場をメインとして使ってもいいし、割り切って使用すればとくに大きな問題はないでしょう。
設備のグレードを抑える
今回紹介したように、便利でハイグレードな設備を選んでしまうと、固定資産税は一気に高くなります。トイレや洗面所ひとつ取っても、上を見れば本当にキリがありません。
幸いなことに、現代の設備機器のレベルは非常に高く、1世代前の最高級グレードより現在の廉価版のほうが性能がよいことも少なくないのです。
もちろん、ここだけは譲れないというこだわりは誰にでもあります。そういったこだわりまで捨てる必要はありません。お金をかけるところと節約するところを明確にして、ムダな固定資産税を払うことのないように賢く計画していきましょう。
5. まとめ
利便性の高いハイグレードな設備は、どうしても評価点数が高くなります。固定資産税を抑えたいのであれば、まず設備のグレードをムダにアップしないことが重要です。
どうしても欲しいものと、廉価版で構わないものをきちんと区別して、固定資産税を上手に削減していきましょう。
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