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【walkerplus】ネクタイの裏にある糸は切らないで!ネクタイの起源やお葬式での結び方まで!プロが教える新年度に役立つネクタイの雑学Q&A/2024年3月26日

【walkerplus】

2024年3月26日

4月を迎え、新生活がスタートすることで初めてネクタイを結ぶ人や、久しぶりにネクタイを扱う人も多いはず。着ける機会が少なくなったとはいえ、フォーマルな場所にネクタイは必要不可欠なアイテム。いざというときに知っておきたいネクタイの知識について、岡山県津山市のネクタイブランド「SHAKUNONE(笏の音)」を運営する、笏本(しゃくもと)縫製社長、笏本達宏さんに聞いた。

国産のシルク生地とハンドメイドにこだわるネクタイブランド「笏の音(SHAKUNONE)」【画像提供=笏本縫製】

ーーネクタイの起源について教えてください。
【笏本達宏】ネクタイの起源は、なんと古代ローマにまでさかのぼるようです。ローマ帝国の軍人が、首を温めるために着用していた襟巻きのようなものが始まりと考えられています。そこから兵士たちが襟元を整えるという文化が生まれていくことになります。その後、17世紀中盤にこの文化が傭兵によってフランスに持ち込まれ、フランス宮廷でファッションとして流行。ここからネクタイの原型であり、語源である「cravate(クラバット)」という名前が登場します。

【笏本達宏】イギリスでネクタイの文化が一般化したのはその後、18世紀末ごろだと言われています。イギリスの上流階級でカラフルなネクタイがファッションとして定着。そして19世紀には、クロアチア出身のフランスの外交官アロイス・デ・ガブリアクによって、現代のネクタイに近い形状のデザインが考案されました。

ーー世のパパたちのための、入学、入園式におすすめのネクタイはありますか?
【笏本達宏】まず、最もハードルが低くて挑戦しやすいのは無地のネクタイです。無地のシンプルなネクタイは清潔感がありつつ、堅苦しくなりすぎません。スーツに合わせて色も選びやすいのでおすすめです。

【画像】入学式にはTPOに配慮した派手すぎないネクタイを選ぼう【画像提供=笏本縫製】

【笏本達宏】柄ものを選ぶ場合は、派手になりすぎないような落ち着いた色合いのものがよいでしょう。難しいと思われがちな柄ものですが、色合いが華美すぎなければスーツやシャツともコーディネートしやすいです。また、どんなネクタイでも最も注意してほしいのが、主役よりも目立たないということ。もちろんファッションは自由ですが、TPOには配慮が必要です。事前に家族の服装と合わせておくと安心ですよ。

ーーでは、新社会人におすすめのネクタイは?
【笏本達宏】おしゃれさよりも、ベーシックなものをおすすめします。個性的なネクタイもよいのですが、まずは幅広いシーンに合わせられるネクタイを用意しましょう。どんなスーツにも合わせられるような色のもので、ひと目でハイブランドだとわかるようなものは避けたほうが無難です。ビジネススーツに合わせにくく、新社会人には少しバランスが悪い印象を与えかねません。

新社会人はどんなスーツにも合わせられるようなベーシックなネクタイがおすすめ【画像提供=笏本縫製】

【笏本達宏】ネクタイを贈りものにする場合は注意が必要ですね。私であれば、織り柄の入った無地のネクタイで、色はネイビーをおすすめします。昔に比べて、仕事服=スーツといったイメージは減ってきていますが、社会人として、必ずネクタイをしなければならないタイミングがあります。いざというときに慌てないためにも、1、2本は準備しておくと安心ですよ。

ーーストライプのネクタイには意味があるって本当ですか?
【笏本達宏】ネクタイの柄でよく見かけるストライプですが、よく見ると「右上がり」のものと「左上がり」のものがあります。この向きの違いに、あまりこだわらなくてもよいように思えるかもしれませんが、それぞれに向きの理由が存在します。実は、右上がりのストライプが英国式、左上がりが米国式なのです。ネクタイの発祥がヨーロッパということもあり、市場での主流は右上がりのものになっていますね。

【笏本達宏】ストライプのことをレジメンタルと呼ぶことがありますが、これは英語で「連隊に属する」という意味があり、ヨーロッパ、特にイギリスでこのストライプの色やデザインが所属する学校や団体を表す文化があるのです。そういう意味では、海外でストライプのネクタイを結ぶのは、誤解を生む可能性があるので控えたほうがいいかもしれないですね。レジメンタルの文化はヨーロッパのものなので、厳密に言うと左上がりの米国式はレジメンタルとは呼ばない、ということになります。

ーーネクタイをプレゼントすることに、特別な意味はあるのでしょうか?
【笏本達宏】男性へのプレゼントにネクタイを選ばれる方はとても多いですが、みなさんからよく「ネクタイをプレゼントとして差し上げても大丈夫なの?」という質問があります。結論から言うと、ネクタイこそプレゼントに最適です!

【笏本達宏】ひと昔前、ネクタイ着用が義務だった時代にはネクタイを贈ることに「あなたに首ったけ」「束縛したい」のような意味があると言われていたようですが、現在はそもそもネクタイの着用も自由になっていることが多く、気にする必要はありません。むしろ、ネクタイは戦いに行く兵士のために無事を祈って首に巻いたことが始まりという説もあり、思いを込めて贈るものとしては最適なのではないでしょうか。

ーーネクタイの裏にある「糸」は切らないほうがいい?
【笏本達宏】ネクタイを結ぶ習慣が減ってきて、この「糸」について知らない人も増えているようですが、ネクタイを裏返すと出てくる輪っか状の糸は絶対に切らないでください。これは「スリップステッチ」というもので、ネクタイを結んだり、解いたりするときの伸縮を補助する役割があります。

切ってはいけないネクタイの「糸」【画像提供=笏本縫製】

【笏本達宏】この糸はネクタイを縫っている糸の一部ですので、切るとネクタイがバラけ、アジの開きのようになってしまいます。スリップステッチは職人によって作られたネクタイの証。ハンドメイドの質のよいネクタイには必ず付いているものです。間違って切らないようにしてくださいね。

ーーお葬式でのネクタイのマナーはありますか?
【笏本達宏】黒いネクタイを着けることはみなさんご存知だと思いますが、そのほかにも気をつけておきたいポイントはあります。まずは、黒無地のものを選ぶこと。シャツも同様ですが、デザインの入っていない無地のネクタイがよいでしょう。ただし、柄物でも家紋が刺繍されているものは問題ないとされています。

【笏本達宏】次に結び方についてはだらしなく見えないように結ぶこと。実は、葬儀のネクタイの結び方については、SNSで私の発言が大炎上したことがあります。「お葬式のネクタイでディンプルを作るのはマナー違反」という投稿をしたことがきっかけでした。ディンプルというのは、ネクタイを結ぶ際に結び目の下に作るくぼみのこと。結び目が立体的になり、スタイリッシュな印象を与える結び方のテクニックです。マナーとして、おしゃれに見せるような結び方を葬儀でする必要はないという考え方があり、それを紹介したところ「マナーを押し付けるな」「そんなマナーはない、金稼ぎのためのウソだ」などたくさんの批判的な意見が届き、ついには批判が誹謗中傷へと変わってしまったのです。

【笏本達宏】この経験から、一般的に「マナー違反」とされることもさまざまな立場からのご意見があり、考えがあるため、押し付けるべきものではないと考えるにいたりました。特に葬儀の際には、マナーよりも故人や残されたご家族への弔意を重んじるべきです。もちろん、一方では「葬儀でディンプルなんて」とよく思わない人もいらっしゃることは事実として存在します。そのような考えもあることは理解したうえで、それぞれが失礼のないような選択をしていただきたいと思います。

ネクタイの起源から選び方、知っておきたいマナーまで、意外と深い雑学が知れたのではないだろうか。新生活をスタートするみなさんは、ここぞというときに困らないような、定番のネクタイを1本を用意しておくと安心だ。

 

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