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【NHK】東日本大震災12年【各地の動き】祈りに包まれる被災地/2023.3.11


東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から11日で12年です。岩手・宮城・福島の沿岸部などでは人口の減少が深刻になる中、若い世代の定着のために地域のにぎわいをどう取り戻すかが、大きな課題となっています。

各地の様子を時系列でまとめています。

06:00ごろ 岩手 宮古 地震と津波想定の避難訓練

岩手県宮古市の田老地区では、午前6時から北海道日高沖の日本海溝付近を震源とする震度6強の地震が発生し、太平洋沿岸で大津波警報が発表されたという想定で避難訓練が行われました。大津波警報を伝える防災無線が放送されると、自宅を出た人たちが近くの高台へと避難を始めました。ことしは港からの車による訓練も実施され、田老地区の漁業関係者などが車に乗って高台に向かって避難していました。

訓練に参加した83歳の女性は「年々、年を取って高台に避難するのが苦労していますが、命を守るためにもがんばって参加していきたい」と話していました。

06:00ごろ 福島 相馬「語り部」の祈り

12年前の巨大地震による津波で64人が犠牲になった福島県相馬市の尾浜地区で家族で民宿を営んでいた五十嵐ひで子さん(75)は、12年前の津波で夫の利雄さん(当時67)と同居していた叔父の2人を亡くしました。五十嵐さんは11日早朝、自宅の跡を訪れて、海の方向に手を合わせて目を閉じ祈りをささげました。

海岸近くにあった自宅を兼ねた民宿は津波の直撃を受け、地震があったあと、避難せずに残っていた3人がのまれ、五十嵐さんだけが助かりました。このため五十嵐さんは、津波の恐ろしさや避難の大切さを伝えようと、語り部として活動しています。

五十嵐さんは、津波で自宅を失ったあと市内で自宅を再建しましたが、おととし2月と去年3月のいずれも市内で震度6強の揺れを観測した2回の地震で大きく壊れ、別の住まいへの転居を余儀なくされました。

五十嵐さんは「あの日を忘れることなんてできませんが、12年がたってようやく少し受け入れられたような気がします。この経験をしっかり伝えていかなければいけないという気持ちが強くなっています。そのために私は生き残ったのかなと。これからも語り継ぎたいです」と話していました。

05:30ごろ 仙台 祈りをささげる遺族

津波でおよそ200人が犠牲になった宮城県仙台市若林区の荒浜地区で生まれ育った大学敏彦さん(68)は、震災発生の当日、仕事で地区を離れていて無事でしたが、津波で自宅と実家を流され妻と両親、兄とおい、合わせて5人を亡くしました。

震災前、地区にはおよそ800世帯、2200人が住んでいましたが、津波でおよそ200人が犠牲となり、地区の海沿いは災害危険区域となったため住宅の建築が制限されています。

大学さんは毎月11日の月命日に欠かさず家族との思い出がつまったこの地区に戻り、祈りをささげてきました。11日も大学さんは海から朝日が昇る時間帯に訪れ亡き妻の名前が刻まれた慰霊碑に線香を手向けたあと、鐘を鳴らして亡くなった家族を思い手を合わせていました。

現在は災害公営住宅に1人で暮らす大学さんは「生まれ育ったふるさとなので、毎年、毎月、来るようにしています。妻には『ありがとう』ということばに尽きるので、これからも見守ってほしいと思って、きょうは手を合わせました。大切な家族を失わないために、地震が起きたら津波がくるものだと思って、とにかく逃げる意識を持ってほしいてほしい」と話していました。

沿岸部の人口減少深刻 にぎわいの回復課題に

2011年3月11日の午後2時46分ごろ、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北の沿岸を高さ10メートルを超える津波が襲ったほか、関東などにも大津波が押し寄せました。福島第一原発では巨大地震と津波の影響で電源が喪失し、3基の原子炉で核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が発生、大量の放射性物質が放出されました。

警察庁によりますと、地震や津波の被害などで亡くなった人は1万5900人、行方不明者は2523人となっています。また多くの人が長期間の避難生活を余儀なくされ体調が悪化して死亡するいわゆる「震災関連死」に認定された人は、復興庁と各都県によりますと3792人となり、この1年で福島県と宮城県であわせて6人増えました。

「震災関連死」を含めた東日本大震災による死者と行方不明者は2万2215人にのぼります。

避難生活を余儀なくされている人は、減少が続いているものの復興庁のまとめでは先月の時点で3万884人となっています。

被害の大きかった岩手・宮城・福島の3県では、この12年で道路や住宅といったハード面の復興が進む一方、沿岸部などでは人口が減少しています。総務省によりますと、東日本大震災前の2010年から去年の間の人口の減少率は、全国では1%だったのに対し、岩手県と福島県では10%、宮城県では3%と厳しい状況になっています。

こうした中、NHKが岩手・宮城・福島の被災地の1000人にWEB上で行ったアンケートでは将来にわたって今の街に住み続けたいと答えた人が8割近くにのぼった一方、「若い世代が住み続けられる街にするために足りないと思うもの」を複数回答でたずねたところ、「仕事や産業」と答えた人が61%と最も多くなりました。

若い世代の定着をはかり人口減少を食い止めるには新たな雇用を生み出し、地域経済を回復させることが求められていて、地域のにぎわいをどう取り戻すかが大きな課題となっています。

避難者およそ3万900人

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で避難生活を余儀なくされている人は、2月の時点で3万人余りにのぼっています。

復興庁のまとめによりますと、震災直後およそ47万人に達した避難者は「災害公営住宅」がすべて完成するなど住まいの環境整備が進んだこともあり、減少する傾向が続いています。

復興庁によりますと、2月1日現在、避難しているのは3万884人で、避難先での定住を決めたり、所在が分からなくなったりした場合は集計から外したこともあって去年の同じ時期と比べ7255人減りましたが、依然として多くの人がふるさとから離れた場所で生活しています。

内訳は
▽親戚や知人の家などで暮らしている人が1万9131人、
▽いわゆる「みなし仮設」などで暮らしている人が1万1615人、
▽病院などで過ごしている人が138人です。

また、避難した人が暮らす自治体は47都道府県の871の市区町村となっています。

福島県では住民の帰還の見通しが立っていない地域もあることから避難している人が最も多く、全体のおよそ89%にあたる2万7394人に達し、このうち県外で避難生活している人は2万1101人となっています。

このほか、県外で避難している人は
▽宮城県からが1221人、
▽岩手県からが578人などとなっています。

被災地の復興に約31兆5000億円投入

政府は、東日本大震災の被災地の復興に向けて、昨年度・令和3年度までにおよそ31兆5000億円の予算を投入してきました。現在は「第2期復興・創生期間」と位置づけて、被災者の心のケアや、原発事故の避難指示が解除された地域への帰還、移住に向けた支援などを進めています。令和4年度から7年度までの4年間にはおよそ1兆4000億円の予算を投じる方針です。

こうした復興予算の財源には、復興増税や政府が保有する株式の売却益などが充てられています。法人税には平成25年度までの2年間、納税額の10%が上乗せされたほか、個人住民税は新年度・令和5年度までの10年間、年間で1000円を増税しています。

また所得税の納税額に2.1%を上乗せする「復興特別所得税」は当初、2037年で終わる予定でしたが期限が延長される見通しとなっています。

背景にあるのが防衛費の増額です。

与党の税制調査会は、去年12月、防衛費増額を賄う財源として、「復興特別所得税」の税率を1%引き下げたうえで、課税期間を延長する方針を打ち出しました。延長する期間は「復興財源の総額を確保するのに必要な期間」としています。

「復興財源の流用だ」といった反発も出ましたが、与党の税制調査会では、「今の所得税の負担を増やすことなく、防衛費増額の財源を賄うための措置であり、復興に必要な予算は確保する」と説明されました。新年度以降に改めて具体的な枠組みを議論することになっています。

一方、復興財源に充てるためにこれまでに行われた政府が保有する株式の売却では、▽日本郵政の株式をおよそ4兆円、▽JT=日本たばこ産業の株式をおよそ1兆円で売却しました。

さらに、▽政府が53%保有する東京メトロの株式についても売却益を復興財源に充てることになっています。現在、売却時期などについて検討を進めています。

ただ、東京メトロの株式については、国土交通省の審議会が、当面、売却を半分にとどめ現在、計画されている地下鉄の延伸事業などを支えるべきだと提言しています。


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