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宮原直倁顕彰会会報誌「草魂/第5号」が発刊されました。/2023.5.1

宮原直倁顕彰会会報誌「草魂/第5号」

ふるさとの心を繋ごう

戦後高度経済成長と少子超高齢化現象は予想を超えて進行し、首都圏一極集中化現象に代表される地方の衰退、ふるさとの荒廃はこれからの我が国の盛衰を左右するキーポイントになっている。私たちの福山市も戦後の工業化の波に乗って急成長したが、今や年間に約二千人の人口減少が報じられるようになった。
若者たちは高校を卒業すると、大多数が進学、就職のために福山を出て行く。この流れを阻むことは残念ながら難しい。しかし、彼らが福山に帰ることの是非は別にしても、わがふるさとの地の「山は青き故郷、水は清き故郷」の心だけは失ってもらいたくない。私達の心に残るふるさとの風景、父母や家族、近所の人たち、母校の先生や旧友の顔 ……。私達をつなぐものは、ふるさとの人々の心とふるさとの歴史や風景であろう。
先日のこと、断捨離の波に乗って本棚を整理して見出した一冊の書物がある。それは今から百年近く前の昭和十年に発行されたもので、沼隈郡熊野尋常高等小学校の郷土学習で使われた副読本である。その当時の児童達のために編纂して郷土史の教育にあたった加藤孝校長を始めとする関係の方々、そして協力した地域住民の慧眼は素晴らしいものである。
内容の紹介は紙面の都合で割愛するが、地元熊野町に対する郷土愛と誇りは、百年近い歳月を経ても読む者の心に響いてくる。
ご承知のように地域の歴史を掘り下げ、現代に生きる者たちに生きた教材として資料化する作業は足と頭と根気、さらに参加する人々のチームワークを必要とするもので、途中挫折することも多い難作業である。
改めてこの書籍を読み返してみると、二百数十年前、不遇な環境の中にあって、福山藩六郡に亘っての歴史地理、経済、宗教、観光等々の地誌を大成した「備陽六郡志」の著者宮原直倁翁の業績と、熊野町の人々の苦労とが重なり、ひとしおの敬愛と親しみの念を強くするのである。

宮原直倁顕彰会会長 池 口 義 人 氏

(宮原直倁顕彰会会報誌「草魂/第5号」より引用)



 

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